出版社内容情報
MPLSは、パケット転送にIPアドレスではなく「ラベル」を使うことで、柔軟性に富んだ新しいルーティング機能を実現する注目の新技術です。MPLSに関しては、トラフィックエンジニアリング、QoS、VPNなど、さまざまな応用の期待が寄せられていますが、その可能性については、いまだ未知の部分が多いとも言われています。本書は、これまで多くの主要なRFCを著してきたDavieとRekhterの2人が、MPLSアーキテクチャとプロトコルの詳細、アプリケーションMPLSの主な応用例などを解説しながら、MPLSの本質を明解に示す入門書の決定版です。
【目次】
第1章 MPLS開発の背景と歴史
1.1 ラベルスイッチングが求められる理由
1.1.1 インターネットの成長と発展
1.1.2 価格とパフォーマンス
1.1.3 IP over ATMの統合
1.1.4 ルーティング機能の拡張
1.2 開発の歴史
1.2.1 IP over ATM
1.2.2 東芝のCSR
1.2.3 IPスイッチング
1.2.4 タグスイッチング
1.2.5 IBMのARIS
1.2.6 MPLSワーキンググループ
1.3 まとめ
第2章 ラベルスイッチングの基本概念
2.1 ネットワーク層ルーティング機能コンポーネント:制限と転送
2.1.1 FEC(Forwarding Equlvalence Class)
2.1.2 一貫性のあるルーティングの提供
2.2 ラベルスイッチング:転送コンポーネント
2.2.1 ラベルとは
2.2.2 ラベルスイッチング転送テーブル
2.2.3 パケットを使ったラベルの搬送
2.2.4 ラベルスイッチング転送アルゴリズム
2.2.5 単一の転送アルゴリズム
2.2.6 転送の粒度(Forwarding Granularity)
2.2.7 マルチプロトコル:上位レイヤ下位レイヤ
2.2.8 ラベルスイッチングの転送コンポーネント:まとめ
2.3 ラベルスイッチング:制御コンポーネント
2.3.1 ローカルバインディングとリモートバインディング
2.3.2 アップストリームバインディングとダウンストリームバインディング
2.3.3 フリーのラベル
2.3.4 ラベルバインディングの作成と破棄:
制御ドリブン方式とデータドリブン方式
2.3.5 ラベルバインディング情報の配布
2.3.6 マルチキャストに関する注意事項
2.3.7 ルーティングトランジェット
2.4 エッジデバイス
2.5 ラベルスイッチングとネットワーク層アドレッシング/ルーティングの関係
2.6 まとめ
第3章 IPスイッチング
3.1 IPスイッチングの概要
3.2 IFMP(Ipsilon Flow Management Protocol)
3.2.1 IFMP Adjacencyプロトコル
3.2.2 IFMPのリダイレクトプロトコル
3.2.3 リダイレクトフローのカプセル化
3.2.4 IFMPとセキュリティ
3.2.5 IFMPとTTL
3.3 GSMP(General Switch Management Protocol)
3.3.1 GSMP Adjacencyプロトコル
3.3.2 GSMPコネクション管理プロトコル
3.4 実装
3.5 まとめ
第4章 タグスイッチング
4.1 タグスイッチングの概要
4.1.1 宛先ベースルーティングのサポート
4.1.2 ルーティング情報の階層化を使った
ルーティングスケーラビリティの改善
4.1.3 マルチキャスト
4.1.4 タグスイッチングとRSVP
4.1.5 明示ルート
4.2 ATM上でのタグスイッチング(Tag Switching over ATM)
4.2.1 タグ情報の搬送
4.2.2 宛先ベース転送
4.3 非ATMリンクでのタグエンキャプスレーション
4.4 タグフォールトの処理
4.5 ルーティングトランジェット発生時の転送ループの処理
4.6 TDP(Tag Distribution Protocol)
4.7 まとめ
第5章 MPLSのコアプロトコル
5.1 ワーキンググループの発足とワーキンググループ設立条項
5.2 MPLSアーキテクチャ
5.2.1 Orderd制御とIndependent制御
5.2.2 ループ検知とループの防止
5.3 エンキャプスレーション(カプセル化)
5.4 ラベル配布
5.4.1 LDP(Label Distribution Protocol)
5.4.2 BGPを使用したラベル配布
5.5 ATMの問題
5.6 マルチキャスト
5.7 まとめ
第6章 サービス品質
6.1 IntegratedサービスとRSVP
6.1.1 Integratedサービスの概要
6.1.2 MPLSのRSVPサポート
6.1.3 RSVPとスケーラビリティ
6.2 Differentiatedサービス
6.2.1 Differentiatedサービスの概要
6.2.2 MPLSのdiff-servサポート
6.3 ECN(Explicit Congestion Notification)
6.3.1 ECNの概要
6.3.2 MPLSのECNサポート
6.4 まとめ
第7章 制約ベースのルーティング
7.1 制約ベースルーティングとは
7.2 制約ベースルーティングの構成要素
7.2.1 CSPF(Constrained Shortest Path First)
7.2.2 転送メカニズムとしてのMPLS
7.2.3 RSVPの機能拡張
7.2.4 CD-LDP
7.2.5 OSPFとIS-ISの機能拡張
7.2.6 CR-LDP とRSVPの比較
7.3 トラフィックエンジニアリングへの応用
7.3.1 トラフィックエンジニアリングの問題
7.3.2 ATMまたはフレームリレーによる
トラフィックエンジニアリングの問題解決
7.3.3 通常のIPルーティングでは不十分な理由
7.3.4 MPLS制約ベースルーティングによる
トラフィックエンジニアリングの問題解決
7.4 ファストリルーティングへの応用
7.4.1 通常のIPルーティングによるルーティングの収束
7.4.2 制約ベースルーティングによるファストリルーティング
7.5 QoSへの応用
7.5.1 Qosとルーティングの関係
7.5.2 帯域保証LSP
7.6 まとめ
第8章 仮想プライベートネットワーク
8.1 VPNとは何か
8.2 オーバーレイモデル
8.3 ピアモデル
8.4 ルーティング情報の制約的配布
8.5 複数の転送テーブル
8.6 VPN-IPアドレス
8.7 転送メカニズムとしてのMPLS
8.8 スケーラビリティ
8.9 セキュリティ
8.10 QoSサポート
8.11 BGP/MPLS VPNサービス
8.11.1 カスタマとしてのISP
8.11.2 ます玉としてのBGP/MPLS VPNサービスプロバイダ
8.11.3 マルチプロバイダオペレーション
8.12 まとめ
内容説明
マルチプロトコルラベルスイッチングの真の利点とは何か?主要なRFCを著してきたDavieとRekhterが示す、MPLS開発の背景とその詳細。トラフィックエンジニアリング、QoS、VPNへの応用の実際。
目次
第1章 MPLS開発の背景と歴史
第2章 ラベルスイッチングの基本概念
第3章 IPスイッチング
第4章 タグスイッチング
第5章 MPLSのコアプロトコル
第6章 サービス品質
第7章 制約ベースのルーティング
第8章 仮想プライベートネットワーク
著者等紹介
デイビー,ブルース[デイビー,ブルース][Davie,Bruce]
シスコシステムズ社に勤務するシスコフェロー。IPネットワークのMPLS機能およびQoS機能の開発班を率いる。いくつもの雑誌記事とRFCを執筆しており、コンピュータネットワーク関連の著書も2冊
レクター,ヤコブ[レクター,ヤコブ][Rekhter,Yakov]
同じくシスコシステムズ社に勤務するシスコフェロー。タグスイッチング、BGP/MPLSVPN、MPLSトラフィックの主任設計者の1人であるほか、Border Gateway Protocol(BGP)の設計者としても主導的役割を果たす。多くのRFCを執筆しており、TCP/IPとインターネットに関するプレゼンテーションや執筆記事も多い
池尻雄一[イケジリユウイチ]
1996年早稲田大学理工学研究科修了、同年NTT入社、マルチメディアサービス部(現NTTコミュニケーションズビジネスユーザ事業部)に配属。OCNの立ち上げ時よりOCNネットワーク設計構築に携わる。その後、MPLS‐VPN技術を使ったArcstarIP‐VPNサービスの立ち上げに参加し、現在に至るまでMPLS‐VPNネットワークの設計・構築に携わる。JANOG運営委員、InternetWeek MPLSチュートリアル講師など
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。