痛みの文化史

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痛みの文化史

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  • サイズ B6判/ページ数 608p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784314008235
  • NDC分類 491.378
  • Cコード C0010

出版社内容情報

「痛み」の森に分け入る
    その意味を取り戻すために

             加賀乙彦氏 推薦
二十世紀は、医学の進歩による鎮静剤の開発によって痛みの消去をもたらした
とともに、そういう薬剤によっては除きえない痛みの大群をも生み出した。
(中略)痛みが私たちにとって切実な問題であるという自覚から、
モリスのこの本を読むのが私はいいと思う。

内容説明

「痛み」は愛のように神秘にあふれ、自分とは何かを問いなおす、根本的かつ人間的な体験である。本書は、「痛み」をキーワードとする体験のほとんどを網羅し、現代の痛みをめぐる医学知識を援用しながら、古今の文学や哲学、キリストの磔刑やラオコーン像、アリストテレスやカント、ゲーテやサドなどを題材に取り上げつつ、肉体の痛みと精神の痛み、本物の痛みと偽物の痛みという二項対立を超え、「痛み」の歴史的、文化的、心理社会学的構造を探究する。

目次

序章
第1章 生きている痛み―神秘かパズルか
第2章 痛みの意味
第3章 目に見えない流行病
第4章 喜劇の痛み
第5章 ヒステリー、痛み、ジェンダー
第6章 痛みの幻視体験と苦しみの政治学
第7章 痛みは頭のなかにある
第8章 痛みの利用
第9章 痛々しい快楽―美と苦痛
第10章 セックス、痛み、あのマルキ・ド・サド
第11章 悲劇の痛み
第12章 痛みの未来

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

鬼束

8
人間を苦しめる慢性的な痛みとは、神経インパルスという単純な機序だけに還元できるものではなく、痛みを感じている個人を取り巻く精神的、社会的、文化的な背景があってこそ生じて来る、ある種の知覚体験であると。器質的損傷に由来する痛みは数多の薬剤によりある程度、支配できる。しかし肉体的な問題に還元し得ず、往々にして患者の生涯に付きまとってくる慢性的な痛みに対してはーそれを鎮める姿勢も間違いではないだろうがー痛みの意義、由来についての文化的な理解をもって、それを引き受けるという姿勢の付き合い方も重要なのかもしれない。2016/03/16

更新停止中

2
「痛み」が身体だけでなく、あるいは精神だけでなく、その両者と、文化や社会的背景、時代の要素が絡み合った存在であるということ。長大な書ではあるけれど、これはいろいろな人に触れて欲しい本だと思った。自分自身が一時身体表現性障害という病名がつく慢性疼痛を患って治療を受けていて、今も日常生活に支障がない程度の疼痛と共存している関係で、非常に身につまされるところあり、よく言ってくれたよそうなんだよ!と思うところあり、新たに考え直さされる所あり。大変面白かった。2011/06/05

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