福島第1原発(イチエフ)事故後10年 テレビは原発事故をどう報道したか―3・11の初動から「孤立・分断・差別」そして「復興」フェイクまで

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福島第1原発(イチエフ)事故後10年 テレビは原発事故をどう報道したか―3・11の初動から「孤立・分断・差別」そして「復興」フェイクまで

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  • サイズ 46判/ページ数 475p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784798063089
  • NDC分類 070.14
  • Cコード C0030

出版社内容情報

本書は、2011年3月11日の東日本大震災によって引き起こされた福島第一原発(通称「イチエフ」)事故とその後を、テレビがいかに伝えてきたかを検証するメディア批評である。
「3・11」勃発後の初動の70時間をすべての局で比較検証した第1章は圧巻である。読んでいると、自らが体験した3・11の記憶が甦るだけでなく、「原発が危ないらしい」と噂され始めた3月13日夜以降の、あの恐るべき緊張が昨日のことのように甦る。
電源喪失から水素爆発、消化活動、冷却方法の模索、住民避難、メルトダウン、電源回復、汚染水問題……怒濤のごとく進行したその後の半年、それから時間が経つにしたがって、帰宅困難地域指定と解除、廃炉作業の開始とぶち当たる困難、福島県産農水産物の風評被害、避難住民の差別や、地元に残る住民たちの復興への決意と思い……それらをテレビはどう伝えてきたか。本書はあますところなく再現する。
のみならず、北海道、福井県等の、他の原発地域の地方番組も細かくチェックし、福島原発事故が他の地方原発に与えた全国的影響も検証する。
そこから浮かび上がるのは、「原子力ムラ」と呼ばれる原発利権集団の片隅に位置し、必ずしも常に最重要問題の所在を明確に指摘してこなかったテレビ・メディアの報道姿勢の問題点である。

内容説明

複数の原子炉がメルトダウンするという世界史上、類を見ない複合型の原発事故。その時、そしてその後10年、放送メディアはいかに、この未曾有の事象と向き合ってきたのか。日本の原子力行政の70年をも遥かに視界に収めるメディア批評の金字塔!

目次

プロローグ―メディアと原発
第1章 2011年3・11、NHK・民放各局の初動70時間を検証する―東日本大震災・東京電力福島原発事故をテレビはどう伝えたか
第2章 復興オリンピックと原発―帰還と避難の狭間で
第3章 イチエフ事故から1年を検証する―地元局は原発事故をどう伝えたか
第4章 北海道、泊原発の動揺―「ヤラセ問題」と原発再稼働
第5章 収まらないフクシマの「孤立」「分断」「対立」―地元民放局の苦悩
第6章 原発銀座福井の50年―地元民放局は安全神話にどう向き合ってきたか
第7章 コロナとイチエフ―再びフクシマへ
エピローグ フクシマが報道機関に突き付けたもの

著者等紹介

小田桐誠[オダギリマコト]
1953年、青森県生まれ。10歳から高校卒業まで北海道後志管内喜茂別町で暮らす。亜細亜大学法学部卒業。出版社勤務を経てフリーのジャーナリストに。放送専門誌『GALAC』編集長、BPO(放送倫理・番組向上機構)「放送と青少年に関する委員会」委員、NPO法人放送批評懇談会常務理事・選奨事業委員会委員長、法政大学社会学部兼任講師を経て、現在、メディア総合研究所運営委員、立教大学社会学部と武蔵大学社会学部兼任講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

trazom

79
「震災後70時間」「事故後一年」「その後の復興」「復興オリンピックと原発」のそれぞれの段階でなされた報道が、詳細に振り返られている。あの時、「本当に分かっている人」と「分かってないくせに自信たっぷりに話す人」を区別なく登場させて視聴者を混乱させ、「直ちに健康に影響はありません」という官製の嘘を拡散する役割しかしなかったテレビ。そんなメディアの振舞いが、10年後の今、そのまま、コロナ騒動で再現されている。この既視感は一体何だろう。「多くの人はテレビを「正しい情報源」とみている」というエピローグが空しく響く。2021/02/01

くらーく

2
こんな本があるのだねえ。読んでいて気持ちの良い本じゃないけど。検証は必要だし大切な事だとは思うけど、揚げ足取りだったり、過度な批判だったりするからなあ。当時の状況で、実際に現場にいた人たちだって、限られた情報でそれなりの発言や報道をしていたのだろうし。 本当はよっぽどの事が無い限り、情報をオープンにして、個々人が情報咀嚼して、判断できれば良いのだろうけど、実際には無理な訳で。で、公的な立場からは、「由らしむべし知らしむべからず」となっちゃうのだろうねえ。お上に信用が無いのがなあ。そのためのNHKだろうに。2021/04/20

せかいのはじめ

1
労作。時系列に並んでいるので、原発関連の用語が並ぶ序盤の報道の記録は、未だに読んでいてもわからない。もし、著者が理解しているのなら、わかりやすく解説してほしい。復興や除染に反対する人はいない。ならばなぜそれが不十分なのか?そして、どうすればいいのか?中立(?)的と思われるジャーナリスティックな視点から見ればわかるのではと期待したが、それはわからなかった(本書の趣旨とも外れるのかも)ただ、文中で「ドイツは中央集権でないから原発全廃が決議できた」という記述はなるほどと感じた。2021/07/24

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