出版社内容情報
長年にわたる激務と512日にわたる獄中生活のために発症した末期腎不全。当初は人工透析を受けつつ、遺された余生を生ききるつもりだった著者はなぜ、生体移植を受けるに至ったのか?
腎臓移植の直後から「頭の中から霧が晴れた」と感じた著者が語る生体移植の実態、さらには日本の医療をめぐる問題を「日本で最も腎臓移植を手がける名医」である石田英樹教授(東京女子医大)と語り尽くす。高額療養費問題などに揺れる日本の医療に対する鋭い問題提起の数々に話題沸騰。
【目次】
はじめに 私はなぜ「決断」したのか 佐藤優
第一章 手術直後、「世界」が変わった
第二章 患者学のすすめ
第三章 執刀医から見た「患者・佐藤優」 石田英樹
【インタビュー】移植コーディネーターという仕事
第四章 真のエキスパートに求められること
第五章 日本の医療は「持続可能」か
第六章 生体腎臓移植にもっと光を
【著者略歴】
佐藤優/1960年、東京都生まれ。同志社大学大学院神学研究科修了後、外務省入省。在英国日本国大使館、在ロシア連邦日本国大使館に勤務した後、本省国際情報局分析第一課において、主任分析官として対ロシア外交の最前線で活躍。2002年、背任と偽計業務妨害容疑で東京地検特捜部に逮捕され、2005年に執行猶予付き有罪判決を受ける。2009年に最高裁で有罪が確定し、外務省を失職。第59回毎日出版文化賞特別賞、第5回新潮ドキュメント賞、第38回大宅壮一ノンフィクション賞。
石田英樹/1961年、神奈川県生まれ。麻布中学・高校を経て、北海道大学医学部に進学。同大学在学中から腎臓移植に関心を抱き、卒業後は東京女子医科大学の腎臓病総合医療センターで研修医となる。1996~99年、ケンブリッジ大学に留学。2017年より東京女子医大教授(腎臓病総合医療センター移植管理科)。医学博士。2023年3月、佐藤優氏の腎臓移植の執刀医となる。
【著者・佐藤優より】
私は、命は神から預かったものであると考えている。腎移植手術が成功し、私の寿命が延びたのもこの世でやるべき使命がまだあるからと受け止めてる。やりたいことはいくつもあるので少し時間をかけて整理したい。
その中で重要になるのが、腎移植の啓発だ。
また女子医大で経験した医療現場の人々の能力と士気の高さについても世間に伝えたい。特に女子大ではレシピエント移植コーディネーターという専門職(看護師)が設けられている。この人たちの仕事内容についても伝えたい。
この本は、そのときの決意に基づいて作られたものなのだ。
【目次】