インターナショナル新書<br> カミュ伝

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インターナショナル新書
カミュ伝

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  • サイズ 新書判/ページ数 221p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784797680782
  • NDC分類 950.28
  • Cコード C0223

出版社内容情報

コロナ禍の中、大きな反響を呼ぶ小説『ペスト』の原作者アルベール・カミュ。フランスが生んだ不世出の作家の全貌にせまる評伝の決定版が登場!

「フランス支配下のアルジェリアでの生い立ち」「第二次世界大戦中、パリでのレジスタンス活動」「『異邦人』など代表作の執筆過程」「プレイボーイとしての華麗なる女性遍歴」「サルトルとの論争」「ノーベル文学賞受賞の経緯」「突然の自動車事故死」など、多くのエピソードをちりばめながら、カミュの生涯・思想・哲学について多角的に論じる。

【目次より】(抜粋)
第1章 アルジェの青春―太陽と死の誘惑
沈黙がもつ絶対的な力への確信と希求/困窮のなかの歓喜/死の病・結核の影

第2章 闘う新聞記者―現実へのコミットメント
愛猫カリとギュラの魂/演劇と恋愛/世界の無意味さ―不条理の発見/言論統制との闘い

第3章 衝撃の作家デビュー―『異邦人』の世界
パリの孤独と『異邦人』の執筆/三島由紀夫が評するムルソー/「不条理」の発見

第4章 結核による追放―シーシュポスとは誰か
『シーシュポスの神話』刊行/人生という不条理との対決/『ペスト』の構想に着手

第5章 戦争への参加―レジスタンスの日々
不条理を前にしても「神にすがってはいけない」/不条理な運命を突破するレジスタンス

第6章 演劇人としての成功―『カリギュラ』の二重性
カミュ、原爆使用を批判する/戯曲『カリギュラ』との葛藤/『ペスト』への予感

第7章 小説家の賭け―『ペスト』の意味するもの
ディスカッション小説としての『ペスト』/ペストは天罰か?/子供が苦しむ世界は愛せない

第8章 二度の舞台の陰で―『戒厳令』と『正義の人びと』
『デスノート』の先駆的作品/「死刑を容認することこそがペストなのだ」

第9章 ふたつの苦い戦い―『反抗的人間』論争とアルジェリア戦争
『反抗的人間』ついに完成/孤独と演劇への没頭/「カミュを銃殺しろ!」

第10章 早すぎた晩年―孤独と栄光の果てに
新作『転落』に込めた自らの苦悩/歓喜なきノーベル賞受賞/孤独との闘い、そして突然の死

【著者略歴】
中条省平(ちゅうじょう しょうへい) フランス文学者。1954年、神奈川県生まれ。学習院大学文学部フランス語圏文化学科教授。パリ大学文学博士。フランス文学の評論・翻訳をはじめとして、映画、マンガなどの分野で執筆を続ける。『フランス映画史の誘惑』(集英社新書)、『マンガの論点』『世界一簡単なフランス語の本』(ともに幻冬舎新書)、『人間とは何か 偏愛的フランス文学作家論』(講談社)など多数の著書がある。

内容説明

『異邦人』『ペスト』という世界文学史上に燦然と輝く傑作を発表し、ノーベル文学賞を受賞。数々の栄光に包まれながら、自動車事故により突然この世を去った、不世出の作家アルベール・カミュ。アルジェリアでの極貧の幼少期、不治の病・結核との闘い、ナチスに蹂躙されたパリでのレジスタンス活動、幾多の女性とのロマンス―不条理な運命に反抗し続け、四六年の人生を駆け抜けたカミュの波瀾の生涯と作品、そして思想にせまる。

目次

第1章 アルジェの青春―太陽と死の誘惑
第2章 闘う新聞記者―現実へのコミットメント
第3章 衝撃の作家デビュー―『異邦人』の世界
第4章 結核による追放―シーシュポスとは誰か
第5章 戦争への参加―レジスタンスの日々
第6章 演劇人としての成功―『カリギュラ』の二重性
第7章 小説家の賭け―『ペスト』の意味するもの
第8章 二度の舞台の陰で―『戒厳令』と『正義の人びと』
第9章 ふたつの苦い戦い―『反抗的人間』論争とアルジェリア戦争
第10章 早すぎた晩年―孤独と栄光の果てに

著者等紹介

中条省平[チュウジョウショウヘイ]
フランス文学者。1954年、神奈川県生まれ。学習院大学文学部フランス語圏文化学科教授。パリ大学文学博士。フランス文学の評論・翻訳をはじめとして、映画、マンガなどの分野でも執筆を続ける(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

パトラッシュ

95
思った通りに生きることは難しい。まして生き方が注目される著名な文学者となると、政治や世論と無関係ではいられない。貧困や戦争の中で自由とは何かを学び作家として成長したカミュにとって、同時代の主潮流であった左右を問わぬイデオロギーは支配を求める現実政治の不条理そのものであった。しかし厳しい東西対立と植民地解放こそ善とされた時代、故郷アルジェリアとフランスが引き裂かれることに苦しむ彼の心情は理解されなかった。ノーベル賞すら栄光ではなく批判にさらされたカミュにとって、事故による急死は長い苦悩からの解放だったのか。2021/09/02

おたま

35
中条省平氏訳による新訳の『ペスト』とほぽ同時に出版されたこの『カミュ伝』。非常にタイムリーだと思う。不条理な人生を生きていくのに必要なのは「反抗」と「自由」と「情熱」だとカミュは言う。不条理と言う言葉とはうらはらにまことにロマンティックな在り方ではないか。カミュの人生はこれを地で行くものだった。少年期に結核になり、死という不条理に直面せざるをえなかった。母親は、耳が聞こえず、寡黙であり、文字を読むこともできなかった。カミュの文学はそうした不条理や沈黙につりあうだけの言葉を生み出す努力だったのだと思う。2021/09/22

NY

13
過去、カミュの評伝には何冊か挑戦したがことごとく挫折。本書はカミュの人生(特に人間関係)と激動の時代背景、これらがどのようにカミュの考え方に影響し、作品に反映されていったかを分かりやすく示しており、最後まで読み通すことができた。 カミュは、生きることに貪欲(強い渇望)で、「正義」のために人を殺すことに一貫して反対した。彼の考え方は、目の前の不条理に抗するにはナイーブだったかもしれない。しかし、決して無力ではなく、理不尽な現実を直視してできる限りのことをするという、極めて強靭な精神に支えられているのだ。2022/01/15

Melody_Nelson

7
「異邦人」は高校生の頃に読んだが衝撃的で、自分の人生で感銘を受けた本の1冊になった。「ペスト」も好きだったのだが、昔読んだエッセイだか批評や、「幸福な死」は読みにくさを感じて、以後避けてしまっていた。このように、熱心なカミュの読者とはいえない自分だが、本書でカミュ自身について知ることができ(幼少期は可哀そう)意義深く、改めて興味をもったので、まだ読んでいない作品、例えば「カリギュラ」「転落」などを読んでみたくなった。2023/12/19

artgrape

6
カミュはあまり馴染みのない作家だったけれど、この評伝を読むと、小説や評論も読んでみたくなる。カミュの思想は、おそらく、次のような感じなのだろうと思う。初めから人間は世界に対して敗北することが決まっている。世界は世界の法則や独特の有り様で動いているのであり、人間はその一要素でしかないため、世界の不条理に抵抗しようとしても勝ち目がない。しかし、その抵抗にこそ美しさと意味があり、むしろ、生きることそのものである、と。2024/07/17

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