出版社内容情報
日本語は、なぜ今の日本語なのか?
『古事記』から、村上春樹の小説まで
漢字(中国)と英語(欧米)の狭間に揺れる日本語の本質に迫る。
明治維新後、英語を国語にしようとした日本の初代文部大臣、森有礼。
敗戦後、フランス語を国語に採用することを主張した文豪、志賀直哉。
そして現代、ロックの歌詞に日本語が乗りづらいことを指摘した桑田佳祐。
彼らの感じた日本語への違和感の正体を探るため、著者は日本語をそのルーツから辿っていく。
ヤマト王権における漢字の導入、漢文の公用化、さらに『古今和歌集』『平家物語』『梁塵秘抄』など古典文学から、アメリカ語の影響下で新たな文体を獲得した村上春樹など現代の小説、J-POPの歌詞まで。
日本語の歴史は、漢字への原点回帰と反発、英語への憧憬と揺り戻しという相克の歴史だった。日本語はいつも上位言語を欲してきたのだ。
移ろいゆく世界に対応し、今も変化し続ける融通無碍な日本語の来歴に迫る。
目次より
序 章 「勝手にシンドバッド」の衝撃
第一章 国語をフランス語に
第二章 国語を英語に
第三章 古代日本の選択と「日本語」の宿命
第四章 「和魂漢才」の古代日本
第五章 日本初の言文一致文体
第六章 「真名」&「仮名」コンビ結成
第七章 「話し言葉スタンダード」の登場
第八章 どこまでが「日本語」?
第九章 「標準」争奪戦
第一〇章 正書法と「やまとだましい」
第一一章 シンクロニシティ一九七八
終 章 「あそび」の未来――「歌謡」とともに
(プロフィール)
大岡 玲 おおおか あきら
作家。東京経済大学教授。1958年、東京都生まれ。東京外国語大学大学院ロマンス系言語科修了。著書に『たすけて、おとうさん』(平凡社)、『不屈に生きるための名作文学講義』(ベスト新書)、『一冊に名著一〇〇冊がギュッと詰まった凄い本』(日刊現代)などの著書、訳書に『ピノッキオの冒険』『今昔物語集』(共に光文社古典新訳文庫)がある。