出版社内容情報
2010年に没した井上ひさしが『こまつ座』を継いだ三女麻矢に語った遺言ともいえる77の言葉。夜中の電話で語った言葉は、次世代を生きる誰しもの共感を呼ぶ、最後のメッセージでもある。
内容説明
2009年がんで療養中の父から夜中に電話がかかるようになった。井上ひさしが三女麻矢に語った言葉。
目次
第1章 父の最期をみとって
第2章 夜中の電話で、父が遺した言葉77(生きるということ;仕事について)
第3章 父を訪ねてボローニャへ
著者等紹介
井上麻矢[イノウエマヤ]
こまつ座代表取締役社長。1967年、東京・柳橋に生まれる。千葉県市川市で育ち、御茶ノ水の文化学院高等部英語科に入学。在学中に渡仏。パリで語学学校と陶器の絵付け学校に通う。帰国後、スポーツニッポン新聞東京本社勤務。二女の出産を機に退職し、様々な職を経験する。その後、(株)二期リゾートで二期倶楽部東京直営ギャラリーの企画を担当する傍ら、IFPA(英国)認定国際アロマセラピスト、フィジカルトレーナーとして活躍。2009年7月よりこまつ座支配人、同年11月より代表取締役社長に就任(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ネギっ子gen
52
【自分のいる場所を最高の場所にする】井上ひさしの死後「こまつ座」を継いだ三女・麻矢が、著者の身体の一部ともなった、父が遺した「77の言葉」を軸に一冊の書に――。<私にとっては父は人間のお手本だった。よいところも悪いところもすべて揃っている、人間らしい人だった。そんな父に触れた真剣勝負の真夜中の電話。私に語ってくれた本音の言葉はいまだに私の中に生きている。人は必ず死ぬ。その瞬間まで誰でも生きる。日常の細やかなことを積み重ねながら、死を意識しながらかけてくれた電話、父のその時の寂寥感を思うと胸が痛い>と……⇒2024/01/01
ムーミン
28
「涙を蒔いて喜びを刈る」「言葉だけではけっして人は人を信じたりしないのだ。行動によってのみ人は人を信じるものなのだ」2019/12/11
純子
24
実家で母が読んでいたのを、居る間にと急いで読みました。井上ひさしさんのお芝居は生で2本、テレビで1本ぐらいかなぁ。でも、本も読みました。ひとつのものを書くのに事前に物凄い量の資料を読んで準備をすることや納得いくまでとことん推敲するため台本がなかなか上がってこずに俳優泣かせなこと、平和であることを何よりも大切にしたことなど知っていることはあったけれど、娘さんへ命を削りながら夜中の電話でたくさんのことを伝えて逝った姿には背筋が伸びる思いになりました。麻矢さんも本に記すには葛藤があっただろうけど読めてよかった。2016/09/18
椿
20
多分、井上ひさしさんの小説を読んだこともないし、お芝居を見たこともないのだけど。テレビでこの本が紹介されていたので、興味がわいて手にとってみた。いろいろドキッとすることや、考え直さなきゃいけないかも、という言葉があって胸が痛いよ。「父と暮らせば」を読んでみたいなぁ。2016/05/03
はる
16
いい芝居の定義とは・・観終わった後に、人生はそんなに悪いものではないのかもしれないと沸々と勇気が湧いてくるようないつまでも歩き続けていられるようなそんな芝居がいい芝居なんだ。と、どうしてか涙腺が緩んだ。何故か家にまっすぐ帰りたくなくて、コーヒーでも飲んでいこうかしらとそういう気持ちになる。あるいは夜中まで歩いていたくなるほどのエネルギーをもらう。そんな普段は絶対自分はならないような気持ちになる、そんな芝居がいい芝居なんじゃないかな。芝居に、言葉に込められた井上ひさしの思い。毎晩の電話で娘に語って聴かせた。2020/02/22