内容説明
一九八一年六月十七日の白昼、下町の商店街を一瞬にして惨劇の舞台に変えた男・川俣軍司。おもむろに取り出した柳刃包丁を手に、幼児を含む六人を次々と殺傷し、そのままひとりの女性を人質に七時間に亘り篭城を続けた―。直木賞作家・佐木隆三が、80年代初頭の日本に起きた凶行を冷静な筆致で辿ったノンフィクション。逮捕・拘束され衆目に曝された犯人は、ブリーフにハイソックスという出で立ちの異様さと、憤怒の形相を人々の眼に焼きつけ、そして口を開く―「電波がオレにひっつくんだ」と。
著者等紹介
佐木隆三[サキリュウゾウ]
1937年咸鏡北道(現・朝鮮民主主義人民共和国)生まれ。41年に帰国。56年福岡県立八幡中央高校卒業。八幡製鉄所に入社。在職中の63年に『ジャンケンポン協定』で新日本文学賞を受賞。64年に退社、執筆活動に専念し、76年には『復讐するは我にあり』で直木賞受賞に至る。代表作に、91年伊藤整文学賞を受賞した『身分帳』(講談社文庫)や『宮崎勤裁判』(朝日文庫)など
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稲岡慶郎の本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
金平糖
3
B+。2018/04/06
JunTHR
2
丁寧に引用される裁判記録から見えてくる川俣軍司の発言・行動は、あまりにも狂っていて、強烈な印象が後を引く。最強の“電波系”だし、行き着く殺人の凶悪さも最悪なレベルだし、そして表紙にもある通りのビジュアルだ。語弊を恐れずに言えば、スターだなぁ。昭和のスターだなぁ。2017/02/10
産廃屋
2
スタイリッシュとか美の欠片もない川俣の写真には底知れぬ狂気とそれへの嫌悪を感じ、彼があくまで「異常性格」の持ち主であり、決して分裂病ではないという驚愕の鑑定に、精神の常軌とは何かと思ってしまう。2011/05/29
ボンタンパンチ
1
深川通り魔事件のノンフィクション。事件に至るまでの生い立ちや、他の事件との比較など。そこそこ面白い。2018/07/01
Terry Knoll
0
覚せい剤常用から幼児を含む6人の通行人を死傷させた、深川通り魔殺人事件。 前半は犯人の生い立ち、後半は裁判経過を記したノンフィクション。 後半は、裁判傍聴に興味がないと読みづらい。 寿司屋での修行中、刺青を入れた先輩に憧れ自分もいれる。 このへんから、人生を踏み間違えた。 ちょっとしたきっかけで、歯車が全部悪い方の入るのは、誰に起きることでは? 動機などを、掘り下げて描いてほしかった。2014/06/08
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