内容説明
湯浅泰生は東大寺三月堂で“天平仏―不空覇索観音(アモガ・パージャ)”と出会い「この御仏を自身で彫ろう」との内なる声が湧きおこった。しかし社長業をつとめる現実の日々と“彫り”が合致せず月日は重ねられていく。そんなある日、通信講座受講の道がひらかれ、念願の“彫り”を始めることに。やがて評価されるも“心技一体”の境地を現出せんと天風哲学を厳修。仏像を彫りすすめるにしたがい、突然病におそわれたり、金縛り状態に。それでもノミ音は逗子の山中にこだまする。御仏は平成の世にその姿を現出するのだろうか―。心の内をもとかす仏教小説がここに蘇る。
著者等紹介
山本俊二[ヤマモトシュンジ]
1941年東京生まれ。裕福な家庭で不自由なく育つも12歳のときに父が破産、病死する。定時制高校へ働きながら通いアルバイトをしながら高千穂商科大学を卒業。その後サラリーマンとして勤務。結婚、家庭崩壊。53歳で天風哲学を知る。やがて母が脳梗塞となり、介護のため平成13年退社。現在に至る
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