感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Ikuto Nagura
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鎌田慧氏の初期のノンフィクション。解説にある通り、戦後の混乱期に起きた事件なのに、古い感じがしない。警察と検察による見込み捜査と証拠捏造。科学の名を借りたインチキ鑑定。一審無罪がほぼ書類審査だけで覆る控訴審。真犯人が出ても再審を棄却する裁判所。そのどれもが、現在では起こり得ないものになっているのか。制度だけでなく、事件発生から逮捕までセンセーショナルにはしゃぎ過ぎ、裁判を受ける前の容疑者を犯罪者と蔑視するマスコミと私たち。もう冤罪は必要悪と割り切る精神を持たねばならないのだろうか。私には無理だな。2014/10/03