内容説明
ひらがなが書けない高校生。ノートが買えない貧困。いくら成績が悪くても入学できる公立の「底辺校」。そこへ通う高校生たちの実態と崩壊する公教育の問題を、数々の事例を紹介しながら追った衝撃のノンフィクション。
目次
第1章 「底辺校」とは何か
第2章 無学力の実態
第3章 豊かさの中の「貧困」
第4章 愛情渇望症の生徒たち
第5章 教育行政への疑問
第6章 蟷螂の斧―結びに代えて
著者等紹介
朝比奈なを[アサヒナナオ]
東京都北区出身、埼玉県在住。筑波大学教育研究科修了。教育学修士。専門は教科教育。大学院修了後、首都圏の公立高校教諭となる。退職後、フリーの進路アドバイザーとして各地の高校などで講演を行う(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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魚京童!
19
機械に取って代わったから育てる意味がないってことだよね。文句もないし、ずっと働くし、ムラがないし。機械と伍していける人だけが最低限となって、進化圧が加わる。あるいはビールにまみれた楽園ができる。何もできなくても生きていればいい時代が終わる。ある基準に満たないものは、ビールにまみれた楽園に送られる。そんな世界が目の前にある。安楽死との戦いだ。2019/11/09
今庄和恵@マチカドホケン室コネクトロン
6
子どもは家庭と社会が作るもの、この1文につきますな。自己責任という言葉で多くを切り捨ててしまった小泉政権の罪は重い、と思わされましたよ。2013/01/20
びすけっと
4
2006年8月刊。学事出版から2011年12月に出版された書籍と同じ内容なのかしら? 教育の崩壊は着実にこの国の崩壊につながっていると思います。現実に進んでいると感じます。今や本当に点が取れないと底辺校でも受からないと耳にしました。ゆとりの悪玉とされた「総合的な~」は底辺校で活用されているとのこと(P.49)。義務課程で失速したのは教材研究への人的、経済的措置をきちんと執らなかったから。貧困の連鎖、再生産に、日本社会が鈍感だと述べています。同感。ノーマライゼーションにも言及している内容は価値あり。2014/03/31
TOMTOM
3
公立校だけに定員以内だと、たとえそれが入試の5教科合計点数が一桁だろうと入学となる。底辺校とはいえ、入学してくるタイプがばらばらのため難しい指導。ケアを厚くするため教師が駆り出され、熱心な教師の奮闘ぶりが伝わってくるとともに、なぜ、ここに来るまでに適切なケアを受けられなかったのだろうかと感じる生徒が多いと。公的機関としてのセーフティーネットが働いていない現実。貧困の連鎖とあきらめの根底には、親自身の自尊感情の低さを感じる。2006年発刊の本だからもっと現状はひどいのだろうと思う。2013/12/07
葉月
2
底辺にいる高校生を取り巻く貧困。親の学歴が子供の学歴に影響するのは、自分が大学に通っていても、日々強く実感します。教育大学に通っているのに、実際の子供たちの貧困状況を全く知らずに素っ頓狂なことを平気で言っている、大卒の両親に育てられた学生を見ると、直接言いはしませんが、心底腹が立ちます。その一方で、休日を潰して小中学校に学習指導のボランティアに行ってる友達もちゃんといます。こういう光景を見ていると、日本の公教育の歪みを感じます。9年程前の本ですが、現在でも状況があまり好転しているようには見えません。2015/08/12