内容説明
境界性人格障害の女性と過ごした日々のノンフィクション。
目次
六年越しの再々会
トライアングル―迷走の行方
愛の始まり―天国と地獄
境界性人格障害
万華鏡
苦しみ、いとおしく
心身の憎悪
解離
分裂
子供の人格の出没
壊れて、笑って、そして…
自死
心の真実
著者等紹介
稲本雅之[イナモトマサユキ]
京都大学工学部建築系学科中退。日本映画製作者連盟城戸賞、小学館新人コミック大賞、講談社ちばてつや賞受賞
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
あかいろ
13
昔 少しだけ一緒にいた人が、心子のような人でした。わたしは本書に書かれているようには「境界」を設定できずに、わたし自身の精神状態もぼろぼろになって逃げるように離れました。本人が一番辛かったのだろうと今では想像できますが、境界例を知らなかったとは言え、今でも正直 わたしでは彼を救うことはできないなと感じてしまいます。だから著者の心子に対する姿勢は、本当に凄いとしか言いようがない。境界例は他人事とは思わず、自分や家族を守るために、家族を育んでいくためにも知っておいた方がいい現代の問題だと思いました。2015/09/01
うさこ
8
付き合いきれない困った人、だけど魅力的な人、あなたの周りにもいませんか?どうも改訂前のバージョンを読んでしまったらしいので、新しい方も読んでみたいと思います。2011/01/07
碧子
4
読んでいてとても苦しくなる内容でした。勢いよく読めたり、苦しすぎて数日休んだりしながら読み終わりました。心子さんの激しさも苦しさもつらさも、どうしてそうなってしまうかも理解した上で受け入れようとする筆者。その時の自分の感情に振り回されず対応しようとする様子には感心を通り過ぎ、可能なものなのか?と不思議に感じるほどでした。心子さん生きづらかったよね。本人もまわりもどれだけ大変な生活だったかと思います。2018/04/10
ゆむる
3
世の中のたくさんの人々の人格には小さな心子が住んでいる、「苦しみを苦しみのまま受け入れて欲しい」時がある。そういった時に、甘やかす必要性はないけれど、余裕があれば少しだけでも優しく心を配れたらいいなって思った。また、余裕がなければ余計な手出しはしない、できないと意思表示するのも大切だなって改めて思った。2020/11/18
afuremark
3
著者にとってはとても魅力的な女性だったのだろうけれど、正直な所(何故逃げなかった!?)としか思えない。閃くように身を翻す幼く儚い精神を持ち、可愛らしく賢くセクシーで、そのデリケートさを得手として的確に恋人の弱みを抉る攻撃力の高さを持つ心子。周囲を振り回し傷つけ続けた挙句自殺する。その傷は生涯残された者の胸に残る。 境界性人格障害について分りやすく書かれた良書。2014/07/20