内容説明
ある日、趣味の部屋に貼ってあるヌード嬢の目元に涙が光るのに気づいた俊彦は、いつしか十年前の日々に迷い込んでいた。夫と子をもつ真奈へ寄せた想い、癌で三ヶ月の余命となった母との思い出が蘇える。翌日、妻・由紀子の目の下にヌード嬢の涙とそっくりのものが黒い染みとなっているのに驚き、その夜は次々と夢をみてしまう。頬に黒い涙を流しながら、「たすけて」と訴える由紀子。だが助けが必要なのは自分かもしれない。黒い涙は俊彦自身の涙だと思えるのだった。
著者等紹介
桜野章平[サクラノショウヘイ]
1949年栃木県生まれ、在住
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。