出版社内容情報
数学者の着想から確率や統計のセンスを磨く
「確率・統計」の問題はとても身近でわかりやすくおもしろい反面、
解答を考えるとなると、いくつも正しそうな答えが出てきて、なかなか難しかったりします。
実際に、現代の中学生・高校生が正しく答えられる問題でも、当時の大数学者が間違えてしまった例があるほどです。
一方で、大数学者たちによる、ユニークな問題に対しての数理的センスに満ちたエレガントな解法も残っています。
そうした一見不思議な問題や巧みな思考を要する事柄、興味深い歴史的なエピソードを、
アクチュアリーで数学パズル・デザイナーでもある著者のユニークな視点で、たくさん紹介しています。
・確率・統計の一見、パラドキシカルな問題
・確率・統計に関わるおもしろい現象の話
・確率・統計に関わる数学者の興味深い話
・確率・統計の不思議なパズル・クイズetc
こうした内容を、簡単に理解できるものから難しいけれど興味深い話題まで、
どこから読んでもおもしろいように巧妙に配置しています。
確率や統計学の発想の源泉を知りたい人、いまのデータ分析の発展に至る流れを知りたい人に最適の1冊です。
第1章 賭けごとにも幾何学的精神を ── 確率論のはじまり
スパゲティの輪/天気予報と確率論/確率論の誕生した年/
「確率」という言葉/カジノ必勝法?/カルダーノという先駆者/
カルダーノの解けなかった問題──分配問題/ガリレイのサイコロ問題/
ド・メレ──きっかけを作った男/分配問題の解決/パスカルの天才ぶり/
フェルマーの魔法──消化試合論法/300 年以上未解決だったこと/
恐るべき賭博師ド・メレ/確率論のテクニカルターム/
事象とは何か/ルーレットの偏り/事象の分割/
ギリシャ文字/トドハンター『確率論史』/ホイヘンスの活躍/
ギャンブラーの破産問題/ホイヘンスの期待値/チャック・ア・ラック/
期待値の計算方法/期待値の加法性/スパゲティの輪の答え/
統計学のはじまり/イギリスの政治算術/オランダではじまった保険数学/
オランダ全盛期
第2章 母なるものが生まれるまで ── 古典的確率論の完成
確率論の不幸/「驚異の年」/ニュートンと確率の接点/
一般2項定理/ライプニッツの失敗/古典的確率論の中興の祖たち/
ヤコブ・ベルヌーイ『推論術』/ベルヌーイ試行、2項分布/
確率分布とは何か/大数の弱法則/天才ド・モアブルの苦難/
ド・モアブルのトリック/トリックのつづき/ド・モアブル『偶然論』/
独立/52枚対52枚/正規分布の発見/正規分布の式/
平均、分散、標準偏差/対数/ネーピア自身の対数表/
スターリングの公式/「確率」というテクニカルターム/
出席番号と背の順/貴族モンモール/トレーズ/
オイラーと確率論/フランス革命期の数学者たち/
古典的確率論の完成者ラプラス/ラプラス『確率の解析的理論』/
母関数の理論/母関数の身近な利用例──シッカーマン・ダイス/
母関数の典型的な利用例/特性関数の使い道
第3章 パン屋の不正も見抜く ── 正規分布の時代
正規分布の偏在性/「ガウス分布」とよばれて/スティグラーの法則/
3大数学者/数学界のプリンス/誕生年の覚え方/24 歳のガウス/
「寡作なれど熟したり」/誤差分布としての正規分布/中心極限定理/
ガウス積分とπ/ガウス積分を最初に成しとげたのは誰か/
ガウスと確率論/ガウス=クズミン分布/ポアンカレの逸話/
ケトレーの実話/統計学のパトリアーク──ケトレー/ケトレー指数── BMI/
マクスウェル分布/ゴルトンは何でも正規分布/母集団という語/
相関と回帰/順位相関係数
第4章 歴史的なアフタヌーンティー ── 数理統計学をつくった人びと
歪んだ分布とカール・ピアソン/カール・ピアソン年譜/
数理統計学の先駆者──ティーレ/ティーレといえば/エッジワース/
キュムラント/キュムラントと中心極限定理/推測統計学/
戦後日本の復興と推測統計学/喧嘩だらけの20世紀統計学史/
ペンネーム/ステューデントのt分布/標本分布論/
推測統計学の父──フィッシャー/最も有名な実験/乱数の本/
乱数を作れ/ネイマン=ピアソン流検定理論/信頼区間/
点推定の理論/最尤法/最尤法の生まれた年/点推定量の性質/
データの打ち切り/クラメール=ラオの不等式/ハラルド・クラメール
第5章 どんなモデルも正しくない ── コンピュータ時代の統計学
ジョン・テューキー/テューキー時間/高速フーリエ変換/
探索的データ解析/ロバスト統計/ノンパラメトリック/
ジャックナイフ法/ブートストラップ法/エフロンのサイコロ/
ベイズ統計学前史/アクチュアリーとベイズ統計学/ベイズ統計学とコンピュータ/
モデルの「正しさ」/赤池情報量規準(AIC/交差検証法/
一般化線形モデル/一般化線形モデルと統計ツール/
クラスごとの事故率と一般化線形モデル/生きた伝説──ラオ/
すべての判断は統計学である
内容説明
17世紀、フェルマーとパスカルの手紙のやりとりにより始まった確率論。ほぼ同時期に、イギリスで「政治算術」という名のもとに始まった統計学。それらは、どのような発展を遂げ、現代に至ったのか。確率統計学の創出と発展に寄与した天才たちのセンスあふれる発想とその偉大な成果を豊富なエピソードとともに描いた科学読み物。
目次
第1章 賭けごとにも幾何学的精神を―確率論のはじまり(スパゲティの輪;天気予報と確率論 ほか)
第2章 母なるものが生まれるまで―古典的確率論の完成(確率論の不幸;「驚異の年」 ほか)
第3章 パン屋の不正も見抜く―正規分布の時代(正規分布の偏在性;「ガウス分布」とよばれて ほか)
第4章 歴史的なアフタヌーンティー―数理統計学をつくった人びと(歪んだ分布とカール・ピアソン;カール・ピアソン年譜 ほか)
第5章 どんなモデルも正しくない―コンピュータ時代の統計学(ジョン・テューキー;テューキー時間 ほか)
著者等紹介
岩沢宏和[イワサワヒロカズ]
数学パズル・コレクター、パズル・デザイナー。また、アクチュアリーとして、(公社)日本アクチュアリー会、(公財)損害保険事業総合研究所などで主にアクチュアリー資格に関わる数学や保険数理の講師を務めている。国際パズルデザインコンペティションにてパズル・オブ・ザ・イヤー(2008年)、パズラーズ・アウォード(2012年)など多数受賞。米NPO法人International Puzzle Collectors Association理事。日本保険・年金リスク学会理事(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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