内容説明
中国の環境汚染が深刻だ。2005年に起きた吉林省の化学工場爆発事故とそれによる松花江汚染は、国際河川の大規模汚染であることに加え、10日間にわたって汚染の事実が隠蔽され、二重の意味で世界を震撼させた。また、農村部では、水汚染を主な原因とした「がん」が多発する村、通称「がん村」が存在するなど、深刻な健康被害が生じている。さらに、環境汚染を理由とする「暴動」その他の抗議行動も激しさを増している。本書では、いまや「公害大陸」とも呼ばれる中国の環境汚染の知られざる実態、そしてその背景を探る。
目次
第1章 深刻な中国環境汚染―現状(松花江汚染事件―工場の爆発など突発型の汚染;2007年夏、各地で「水道パニック」―広範な原因による慢性型の汚染;淮河をはじめとする「がん村」の広がり;大規模抗議行動の出現;「公害大陸」:足尾鉱毒事件から地球環境問題まで同時噴出)
第2章 中国環境汚染の根深さ―背景(十分調査されていない松花江水俣病;統計上は急に悪化したわけではない;1980年代に既に「日本の公害が最悪だった時期並」との評価も;「三廃」「白色汚染」……独自の表現にみる問題意識の推移政策がある中での悪化)
第3章 中国環境汚染の国際的な広がりと日中民間協力(地球温暖化問題と中国;「環境共同体」再考;進む被害者・支援者協力;日本の市民は中国の環境汚染に何がきるか)
著者等紹介
相川泰[アイカワヤスシ]
鳥取環境大学環境政策学科准教授、東アジア環境情報発伝所運営委員、中国環境問題研究会共同代表。1969年東京生まれ。東京大学教養学部教養学科第三国際関係論分科在学中の1992年から中国の環境問題を研究テーマとする。同大学院総合文化研究科国際関係論専攻に進学(在学中に国際社会科学専攻に改組)、博士課程在学中に、文部省アジア諸国等派遣留学生として2年間、中国・北京の中国人民大学に留学。2004年より鳥取環境大学勤務(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
くものすけ
Humbaba
Naota_t