内容説明
日々、変化するインターネット社会において、その枠組みとなる法をどのように捉えればいいのか?情報法のエキスパートが、軽妙かつ明快に法とネットについて徹底解説。歴史的な背景も踏まえた、スリリングな論考から現在の諸問題が次々に浮き彫りにされていく。インターネット社会に関わる人にとって必携の一冊である。
目次
第1章 法の根っこを考える(そろそろ真面目に「法」について考えよう;法と法則;大陸法と英米法の考え方;イングランド法についてちょっと補足)
第2章 権利をしっかり知っておく(自力救済と紛争解決;名誉と自力救済、そして法;知的財産権制度と封建制について;権威と典礼)
第3章 これからの法と社会を模索する(政治的であることについて;メンドウな事態とポリシー・ロンダリング)
著者等紹介
白田秀彰[シラタヒデアキ]
1968年宮崎県生まれ。法政大学社会学部助教授。一橋大学法学部卒業。同大学大学院博士後期課程単位修得退学。専門は情報法、知的財産権法。雑誌や自身のサイトなどで、リアルとネットにおける法の位置づけについても積極的に発言している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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tolucky1962
5
砕けた雰囲気の独特の語り口はコンピュータオタクらしさなのか。とはいえ、内容は法学の専門家らしく、かつ大学で若い学生に教える仕事をされているからか、基礎的なことをわかりやすく説明している。私のような専門外の人間が法律の考え方を知るには勉強になった。実世界での法律を説明したうえでネット世界の法律がどうあるべきかが示されている。2014/04/28
bluingreen
5
歴史的な法の生成構造が、人の集まり始めた現在のインターネットでの法の生成にもあてはまることを指摘しつつ、これからのインターネットでの主な問題が知的財産権の利害対立とそれに関する決定へどのようにコミットするかということになると予言している。ネットの人々はもっと政治的であるべきとの諫言は耳に痛い2011/08/02
アルゴン
4
★★★★☆最初の英米法・大陸法の話は法を学ぶ方には常識なのでしょうが、ろくに勉強してなかった私は初めて知りました。アメリカで法制化されたからってそれが全てと思ってはいけないんだなあ。また、インターネットの法整備が進んでない原因に、インターネット上の権利の存在や、それに伴うルール・規範は守るべしという意識が浸透していないという主張には納得。既得権者は新勢力の台頭をよしとせず、新勢力は新勢力で権利を主張しない、責任を回避するなどの状況で、新しい概念のが安定して定着するまでには時間がかかるものですね。2017/12/12
つかさちゃん
4
この手の法学エッセイが、単行本・新書で定期的に読めると嬉しい。2014/09/23
seer78
4
インターネットに限らず、法とは何かという問題をわかりやすく説明してくれる本。前半の法と法律の区別の話がおもしろい。その他、英米法と大陸法のちがいとか、コーヒーショップから始まった近代政治というのも、読んでよかったと思わせる。2010/02/28