出版社内容情報
近代国家モデルに従い国家を構築した国々が共通して対峙する問題に、米国の人々が歴史の中でどのような回答を導き出したのかを検証。本書では、一般に国家を形成する要素とされる、国民・領土・主権のうち、特に国民の要素がもっとも重要と考えられたことから、国民の要素(市民権Citizenshipと市民的権利Civil Right)を分析の対象とした。本書では、米国のたどった市民権・市民的権利に関する歴史が近代国家モデルに従った国々が共通して対峙する問題にどのような回答を導いたのかを具体的に検証する。
はじめに
第1章 問題の所在
第1節 国籍・国民の権利を巡る問題
第2節 現在の議論の状況
第3節 論述のアウトライン・先行研究・分析の方法等
第2章 合衆国市民権の始まり――米国建国から南北戦争まで
第1節 本章の課題と論証の方向性
第2節 オリジナルの憲法と市民権
第3節 連邦議会と市民権・市民的権利
第4節 行政府と市民権――司法長官の見解
第5節 裁判所における市民権―― Dred Scott判決
第6節 小 結
第3章 合衆国憲法修正第13条の原意
第1節 本章の課題と論証の方向性
第2節 修正第13条制定まで
第3節 修正第13条の制定過程
第4節 修正第13条の理解
第5節 小 結
第4章 合衆国憲法修正第14条の原意
第1節 本章の課題と論証の方向性
第2節 解放民局法の改正
第3節 1866年市民的権利法の制定
第4節 連邦議会によるその他の立法
第5節 議会における議論
第6節 議会での議論の帰結
第7節 小 結
第5章 再建期の合衆国における市民権と市民的権利
第1節 本章の課題と論証の方向性
第2節 修正第15条
第3節 主要な市民的権利法
第4節 連邦議会によるその他の立法
第5節 制定法集(Revised Statutes)における市民権・市民的権利
第6節 Slaughter-House Cases
第7節 市民権に関する判例
第8節 市民権に付随する権利に関する判例
第9節 小 結
第6章 女性と合衆国市民権――合衆国市民権の発展
第1節 本章の課題と論証の方向性
第2節 修正第19条の制定過程
第3節 女性と市民権の変動
第4節 女性と市民的権利・市民的義務
第5節 小 結
第7章 大統領就任資格と生来的合衆国市民権
第1節 本章の課題と論証の方向性
第2節 米国憲法第2条第1節第5項の原義
第3節 Common Law・連邦憲法・連邦法と出生による市民権の取得
第4節 現行法における出生による市民権取得
第5節 判例における出生による市民権の取得
第6節 大統領就任資格としての「出生により合衆国市民である者」
第7節 小 結
第8章 米国市民権・市民的権利の歴史と近代国家の構成員に係る法制度のあり方
第1節 本章の課題と論証の方向性
第2節 米国市民権の発展過程
第3節 米国における市民的権利・義務の発展過程
第4節 近代国家と市民権
第5節 近代国家と市民的権利・市民的義務
第6節 近代国家の発展と市民のあり方の変容
おわりに
参考文献
事項索引
判例索引
法令名索引
人名索引
松澤 幸太郎[マツザワ コウタロウ]
外務省国際経済課