内容説明
検察と政界の激しい暗闇の真相!造船疑獄の指揮権発動のほんとうの知恵者は一体誰だったのか。いまなお戦後検察史の最大のナゾであり、日本戦後史の陰の部分となっている。関係者の証言や日記を照らし合わせ日本検察史の中でもう一度とらえ直すと、これまで伝えられてきた物語とまったく異なった真実がみえてくる。
目次
1 造船疑獄事件
2 保守合同前夜
3 事件後始末
4 指揮権発動の深層
5 吉田政権の崩壊
6 検察の威信
7 馬場検察
著者等紹介
渡辺文幸[ワタナベフミユキ]
1948年静岡生まれ。早大第1文学部卒業。東大新聞研究所研究生。74年共同通信社入社。東京本社社会部、広島、京都各支局、大阪支社社会部、本社政治部、メディア局編集部次長などを経て、04年9月に退社。同10月より法務省大臣官房秘書課広報企画アドバイザー。法曹記者として、司法制度改革やオウム破防法規制請求、民商事・刑事法改正など、法務・検察全般を取材した
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感想・レビュー
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coolflat
2
前半は、造船疑獄事件の事実関係、それに絡んだ人物、指揮権発動に至るまでの歴史背景を説明している。推理小説で言えば、謎解き解明の部分である本書のいわば本番は164ページからだ。これまで指揮権発動の首謀者岸本次長検事の根拠とされた、犬養元法相の「"指揮権発動" を書かざるの記」が実は、そう単純な構図ではない事が解説されていく。そこには、馬場派と岸本派の検察内部の対立も背景にあるのだが、2012/08/01
チャーリイ
0
造船疑獄において犬養健法相が指揮権を発動して、特捜部による佐藤栄作自由党幹事長逮捕を差し止めた事件の検証。正義の検察vs政権・法務省っていう構図は安直すぎるし、むしろこの指揮権発動は両者の利害一致の産物だったという話。検察ファッショを吉田茂が警戒したというのはホントかどうかわからないけど、官僚の戦争責任という視点は重要かも。2015/09/15