内容説明
本書は、平成六年度から三年間に亘り科学研究費補助金を受けて行った『近世武家官位をめぐる朝幕藩関係の基礎的研究』の成果をもとに発展させたものである。武家官位の制度的・形式的側面を解明するため、具体的な手続きや儀礼など基礎的事実を明らかにすること。多様な大名の家格の成立と官位との関連、その固定化と変動を明らかにすること。この二点を中心に、全国的に関係史料の調査を行い、これを分析し、武家官位をめぐる朝幕藩相互の関係を解明し、近世の国家的権力編成に関する研究の発展に寄与することを目的とした。そしてこの研究により、実に多くの貴重な史料が見出され、これらの分析と考察が本書へと発展したのである。
目次
総論 近世の武家官位
将軍宣下と幕府・朝廷
将軍宣下に見る公家・大名・寺社方の格式―六代家宣「将軍宣下記」に見える「目見え」と「振舞」に関する史料紹介を兼ねて
近世初期武家官位の展開と特質について
江戸幕府における武家官位の銓衡
近世大名の官位叙任過程―対馬藩主宗義倫、義誠の事例を中心に
加賀藩年寄の叙爵をめぐって
近世前期の武家官位叙任手続きと朝廷
幕末・維新期における武家官位の変質
『武家補任』について
近代中期武家官位叙任の実態―外記平田家文書を素材に
近代武家官位関係文献目録
資料翻刻 寛文2年「公武両家官位分限」
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