出版社内容情報
内容説明
老年に差し掛かった機関士のレオン・ファン・ベルが長年愛してきた流線形蒸気機関車12.004号、通称“ドゥース”。近代化の流れの中、いずれお払い箱になるさだめにあったドゥースも、新型ロープウェイの導入により、ついにスクラップにされることが決まった。ドゥースを救うため、レオンは口のきけない少女エリヤと共に「機関車の墓場」に向かうのだが…。
著者等紹介
スクイテン,フランソワ[スクイテン,フランソワ] [Schuiten,Francois]
1956年、ベルギー・ブリュッセル生まれ。1970年代から『ピロット』や『メタル・ユルラン』などの雑誌でBDを発表し、ブノワ・ペータースと組んで発表した『闇の国々』シリーズで一躍人気BD作家の仲間入りを果たす。映画や舞台の背景美術、2005年愛知万博のベルギー館をはじめとする数々の国際博覧会のパビリオンデザインなどに携わっている
古永真一[フルナガシンイチ]
1967年生まれ。首都大学東京准教授。現代思想の研究の他、BDに関する著作や翻訳も手掛ける(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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kanon
6
白黒で描かれているのが良いと思った。日本の漫画とはやはり少し違う雰囲気で、線があまりにも多すぎるというか。週や月に一回締切がくるわけでもないし、一枚にかける時間が圧倒的に違うんだろうな。トーンなどは勿論ない。芸術の域。2020/06/29
garth
3
機関車と女。流線型の時代。2017/10/29
izuru youichi
1
ロープウェイに取って代わられて消えゆく機関車。何とか「機関車12.004号」がスクラップになるのを阻止しようと奮闘する老機関士が主人公の物語。機関車の迫力ある姿、緻密に描かれた建造物、どれも素晴らしくてもう少し長くこの物語を楽しみたいと思った。 2013/08/31
籠り虚院蝉
0
「自分が愛したものは永遠に続いて欲しい」そんな単純な理屈を、その画風と相まって繊細に描いた作品のように感じた。また、徐々に水かさが増し洪水かと思われていた町が実はダム建設計画で潰される予定になっていた、という設定が、徐々に水没する町とそこを走る機関車という非常に魅力的なファンタジー風の世界観に仕上がらせていたと思う。巻末では今風の近代的ビル群が立ち並ぶ街にたどり着いていたが、そこでまた現役のように走る姿が描かれていて、ファン・ベルの願いも叶ったんだろうかと思う。2015/11/02
龍國竣/リュウゴク
0
機関車が人々の目から消えようとする時、あくまでもそれに執着する老いた機関士が主人公。フィギュアを蒐集する人物が現れる等、オタク的な要素が強い。女性も言葉を話さない一人のみで、男性的、直線的美学が一貫して語られる。白黒で描かれることで際立つ。2013/06/28