ファン・ホーム―ある家族の悲喜劇

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  • サイズ A5判/ページ数 236p/高さ 22cm
  • 商品コード 9784796870856
  • NDC分類 726.1
  • Cコード C0979

内容説明

セクシャルマイノリティとして、文学を愛する者として、共感を覚えながらもすれちがい続けた父と娘。互いをつなぐ微かな糸を、繊細にして静謐な筆致でたどる、ある家族の喪失と再生の物語。アイズナー賞、最優秀ノンフィクション賞受賞、全米批評家協会賞最終候補作品、アングレーム国際漫画フェスティバル優秀作品賞ノミネート。

目次

1 古代の父よ、古代の芸術家よ
2 幸福な死
3 かの大いなる禍い
4 花咲く乙女たちのかげに
5 うす黄色の“死の”箱馬車
6 理想の夫
7 反英雄の旅

著者等紹介

ベクダル,アリソン[ベクダル,アリソン][Bechdel,Alison]
1960年生まれ。ペルシルベニア州出身。1983年から2008年にかけて、レズビアンの主人公とその周囲の人々の日常を綴ったコミック・ストリップ『Dykes to Watch Out For(レズビアンに気をつけて)』を連載し、「同ジャンルにおける傑作の一つ」と称賛された。また、7年の歳月をかけて完成したという『ファン・ホーム』が、発売後2週間にわたって『ニューヨーク・タイムズ』紙のベストセラー・リストに入り、批評家、読者の双方から絶賛される

椎名ゆかり[シイナユカリ]
出版エージェントとして海外の漫画家の日本デビューを支援するかたわら、翻訳家、ライターとして活躍。主に北米の漫画事情などについて記事を執筆している。また、講談社『モーニング』の主催する「モーニング国際新人漫画賞」の審査員も務める(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ケイ

103
感想が難しい。こういう父を持つことは子供には一種の十字架のようなもので…。父とは、絶対的に信じて頼ることができる存在。女の子には何があっても自分を愛してくれる心から甘えられる人。男の子からは強くて超えなければいけない存在。しかし、それが根本から揺らいでしまうのだから。父のことを、一歩離れ、一人の人間として対峙し、考えていくことが、この本で描かれていること。考えていくことが主人公のひとり立ちにつながっていく。マンガは苦手だが、この本はマンガでわかりやすかったと思えた初めての作品かもしれない。2015/12/23

扉のこちら側

67
初読。2015年1026冊め。【52/G1000】G1000の中に数冊あるマンガのうちの一冊。タイトルは「楽しい我が家」だが、著者の実家が葬儀屋だったので「funeral home」をfun homeと呼んだことに由来。失われた時を求めて、ユリシーズ、グレートギャッツビー等G1000リスト入りしている名著が伏線として多数出てくる。巻末に訳注があるが、出てくる本をきちんと読了してからこちらを再読したい。P154の父娘の夕暮れのシルエットが好き。2015/08/28

NAO

42
絶対的な支配者として君臨していた父に反感を感じながらも、セクシャルマイノリティとして、文学愛好者として、自分と合わせ鏡のようだった父に共感していく娘の心境を描いている。「失われた時を求めて」「グレイトギャッビー」「ユリシーズ」「ある婦人の肖像」など名作の登場人物に自分たちをなぞらえ、それらの文学論も交えながら暴かれていく家族の秘密。日本ではなかなかなお目にかかれない赤裸々な自伝コミックだが、重低音が利いた音楽を聴いているような深い趣があった。2015/11/21

Ecriture

12
2006年の出版、アイズナー賞ノンフィクション部門を受賞し、ミュージカル化されて大ヒットしたレズビアン・ゲイ文学の新たなる古典。ゲイである父とレズビアンである娘の双方からのカミングアウトが、プルーストやジョイスの名作の登場人物を参照しつつ描かれる。邦訳は仕事が丁寧で、ちらりと登場する本のタイトル全てに注釈を施し、この本からさらに次の本に手を伸ばしやすくなっている。ヘンリー・ミラー、フォークナー、ヘミングウェイ、フィッツジェラルドなど、登場する文学作品に親しんでいればより楽しみは増すだろう。2016/02/17

garth

7
筆者にとって父は魔法の手を持つ『若き芸術家の肖像』のディーダロスだったが、父は自分のことを『華麗なるギャツビー』のジミー・ギャッツになぞらえていた。美しいがどこかよそよそしく、素人演劇に身を投じる母親のことを、アリソンはヘンリー・ジェイムズの『ある婦人の肖像』のイザベル・アーチャーのようだとも思う。アリソンは成長の過程で、秘密のヴェールを一枚ずつはがしてゆくように、その真実を学んでいく。まるでジョイスの、あるいはプルーストの小説のように、物語には(人生には)いくつもの層があり、どこまでも奥深いものなのだ。2011/03/30

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