内容説明
社会と人間の概念を流動化する!社会科学や人文学、科学技術など多分野にわたる第一線の研究者が、それぞれに抱えるアクチュアルな問題を通して、現代社会とそこに生きる人々の現代性について先鋭な議論を展開。資本・科学・技術・都市・建築・階層・習俗・国家・政治・思想・宗教・戦争・言語など多岐に及ぶ事象の広がりのなかから、歴史の現在にかかわる入り組んだ知の星座系が浮かび上がる。
目次
1 国家と人間の他なる回廊へ(社会思想史の空間論のために;「弱者」の戦略―市場に抗する有機農業;アジアの孤児と異域の孤軍―現代台湾社会の多元性を見直すために ほか)
2 現代社会の反射球体を見る(限界体験の傷口―“原爆文学”と原発事故;「科学と社会」についての覚え書;「汎計画学」への遠い序論―形式主義モデルとしての経済と都市 ほか)
3 社会への思考を流動化する(一九世紀/二〇世紀の転換と社会の科学―「社会学の誕生」をめぐって;アドルノの社会科学論―アクセル・ホネットのアドルノ批判への反証の試み;自律していない者たちの社会契約―リバタリアン・パターナリズム論の射程 ほか)
著者等紹介
内田隆三[ウチダリュウゾウ]
1949年生まれ。東京大学名誉教授。専攻は、社会学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
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マウンテンゴリラ
2
現代にしか生きた経験を持たなず、社会学、社会科学の専門的教育を受けた経験もない私のような人間が、このような専門書を読むには、少々無理があったかもしれない。漠然としてではあれ、現代社会に少なからず歪み、疑問、違和感、生き難さ、といったようなものを感じてしまう自分に対して、専門的立場からの客観的かつ信頼できる評価、ヒントが得られるのではないか、と期待する面があったが、残念ながらそのようなものは得られなかった。ただ、社会契約における、リベラルな啓蒙主義と成長論的自由主義には、示唆的なものを感じた。2017/10/28
ぷほは
0
内田隆三退官記念論文集。市野川論文は興味深い主題で丁寧に整理してくれてはいるが、整理だけで掘り下げはしてくれていない。「文化」という訳語は坪内逍遥によるものだとされているらしいが、どこで、いつ訳し、どのように普及したのか?米田庄太郎の議論は既にかなり一般化してからの話なので、やや不満。佐藤俊樹論文は『理論と方法』に掲載された書評論文の続きで、因果同定の手続き論だが、これがどこかで自己産出論と繋がるかは、よくわからない。野上元の市民社会(戦争)論は面白い。社会契約説の奴隷論はアガンベンの「むき出しの生」か?2015/11/26
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