内容説明
戦後歴史学を「内破」して歴史認識のパラダイムを転換させた三人の歴史家たち―網野善彦、安丸良夫、二宮宏之の思索の跡をたどり、そこに新たな歴史認識に向かうどのような構想力が作動していたかを明らかにする。加えて、歴史の可能性を求めて、彼らと同時代を生きてきた著者自身の研究の軌跡も詳述。
目次
序章 戦後歴史学を超えて
第1章 網野善彦における絶対自由の精神―境界領域を踏破する歴史学
第2章 安丸民衆史の感性と全体性
第3章 歴史を問い直す二宮宏之の作法―その「はみ出して行く」概念としての社会史
第4章 歴史の可能性を求めて―日常的実践の歴史学に向かう自分史
著者等紹介
喜安朗[キヤスアキラ]
1931年東京生まれ。東京大学大学院人文科学研究科修了。現在、日本女子大学名誉教授。専攻は、フランス近代史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
koji
5
固く長い本であり、いざ手にすると、たじろいでしまいます。しかも戦後歴史学を転成させた歴史家の軌跡が主題ですから読みにくいものです。しかし網野、安丸、二宮の思想を辿っていくと、「日本人とは何か、日本の近代化の根源は何か」に行き着きます(唯二宮は消化しきれませんでした)。日本は国家安定の手口として列島の住民を均質化し支配したが、それは虚像であり、その実は「豊かな多様性」を有していること(網野)。勤勉、正直等通俗道徳が日本人の日常的な生活規範となり、日本の近代化を支える主体となったこと(安丸)。得心がいきます。2014/12/23
RKG
1
史学史ってやっぱり愉しいな。2017/08/18
h t
0
けっこう長い2014/08/30