内容説明
フロイトが「死の欲動」概念を初めて提出した『快原理の彼岸』は、今日にいたるまで学派の内外を問わず、つねに問題の書として扱われ、数々の批判や論争にさらされてきた。この奇抜で難解なテクストを精読し、死を単なる生の否定、裏返しとする一般常識に立ち向かったフロイトの挑戦の意味を、現代生物学の成果と照らし合わせながら検証する問題の書。
目次
第1講 無意識の時代
第2講 想像的解釈とメタサイコロジー
第3講 反復強迫の射程
第4講 死は欲動するのか
第5講 拮抗する生と死
第6講 攻撃するタナトス
第7講 人間―この残酷な存在
著者等紹介
小林敏明[コバヤシトシアキ]
1948年岐阜県生まれ。1996年ベルリン自由大学学位取得。ライプツィヒ大学教授資格取得を経て、現在ライプツィヒ大学東アジア研究所教授。専門は、哲学・精神病理学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
加納恭史
17
「精神分析入門(下)」で、エスのことが気になり、本書を取る。精神分析では、無意識には超自我とエスがあり、自我が現実対応の原則、超自我が倫理対応の原則、エスが快不快対応の原則。本書はフロイトの後期の作品で、リビドー(欲動)は無意識のエスから生じると言う。また欲動には性的欲動、自己保存、財産欲動、名誉欲などもある。その中に〈死の欲動〉もあると言う。この本書では、〈死の欲動〉はタナトスとして、エロスと対比して語る。タナトスは無機質に戻る、一種の退行だとも。無機質、無に戻るとは死のことだが、そんな欲動はあるのか?2023/10/24
Masakazu Shimamura
3
私たちの心に秘めた「死の欲望」。精神分析内でもあまり扱われずにきた。 本概念に魅力され、約10年。ようやく向き合えるかと思ったが。 本概念をはじめて提唱した1920年「快原理の彼岸」という論文でフロイトは、「人は私自身はここに展開した仮設を信じているのかどうか、またどれほどまで信じているのか、と問うかもしれない。私の答えはこうなろう。私自身は信じてもいなければ、これを他の人に信じてもらおうと努めるものでもないと。より正確にいえば、私自身はどれほどまで信じているのか、自分でもわからないところである」 え!!2017/04/15
RyoShun
2
昇華:フロイトの理論にしたがえば、性欲動すなわちエロースのもつ「リピドー」という一種のエネルギーの加工誘導と見ることができる2018/07/30
ふにゃ
2
タナトスとエロスの関係がいまいちわからなかった。/今読んでいるバタイユ・ニーチェへの言及があって嬉しい。/いつかフロイト全集を!2013/06/22
konor!
1
斜め読みだけどめっちゃ面白かった!Spekulationもっと大学で教えてほしい かなり内容忘れちゃったけど鬱はファザコン・セックス以外は死の欲動・曇らせBLで戦争をなくそう みたいな感じだった?(全然違うかも)攻撃衝動をごまかすための文化だけど、いつか無理になっちゃうかもね…人間…みたいな諦め発言好きだった。興奮した割に覚えてなさすぎてワロタもう一回読む2024/01/15
-
- 和書
- 交通政策への招待