内容説明
本書は、日系米国人の強制収容所経験から始まり、原爆の被爆体験、ハンセン病回復者の経験、アイヌの被差別経験、部落差別の経験、不登校やユニークフェイスのセルフヘルプグループでの経験、そして薬害HIV事件の経験と多岐にわたっている。これらの経験を通底するものは、支配的物語に回収されない、多様なライフストーリー・ナラティブなのである。
目次
1 歴史的出来事の体験(ミニドカを語り継ぐ―日系アメリカ人のインターンメント経験とジェネラティヴィティ;原爆の記憶を継承する―長崎における「語り部」運動から;ある医師にとっての「薬害HIV」―「弱み」を「語り」「聞き取る」 ほか)
2 苦悩と危機の人生経験(「生活者」としての経験の力―国立ハンセン病療養所における日常的実践とその記憶;記憶の保存としてのハンセン病資料館―存在証明の場から歴史検証の場へ;死の臨床における世代継承性の問題―ある在宅がん患者のライフストーリー ほか)
3 マイノリティ当事者/非当事者の経験(アイヌの若者たちの語りに接して―聴き手の衝撃と認識の変化;被差別を語り継ぐ困難―「部落」というカテゴリーの変容)
著者等紹介
桜井厚[サクライアツシ]
立教大学社会学部教授。ライフヒストリー/ライフストーリー研究
山田富秋[ヤマダトミアキ]
松山大学人文学部教授。エスノメソドロジー、ライフストーリーの社会学。差別や苦悩の経験へどうやってアプローチするのか探求している
藤井泰[フジイヤスシ]
松山大学経営学部教授。教育学、とくに比較教育学、教育史を専攻(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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