内容説明
日本が戦後たどってきた社会の大きな変化を人びとの生活経験から生みだされたライフストーリーをもとに解釈し構成した本書は、制度化された支配的文化とは対立や葛藤を引き起こしている切実な問題を扱っており、とりわけ社会の周縁部で偏見や差別にさらされてきた人びとの声に注目しながら、戦後の主流をなしてきた人びとの日常意識のあり方をリフレクシィヴにとらえ返すことをめざしている。戦後60年余りの間に私たちが何を作り上げ、そのために何を犠牲にし、何を忘れてきたのか、そしていま何が問われているのかをあらためて問い直す。
目次
序論 歴史経験はいかに語られるか
ファンタジー化する原水爆そして原子力イメージ―ゴジラ映画・特撮映画というテクスト
制度としての国籍、生きられた国籍
「デカセギ」の十五年―日系性を生きる道
在日朝鮮・韓国人とハンセン病元患者の間で―患者社会のなかの差別の表象
“迷い”のライフスーリー―日系ペルー人の強制収容と戦後の軌跡
ライフストーリー的想像力の射程と限界―高史明『生きることの意味 青春篇』を手がかりに
移動経験と被差別アイデンティティの変容―都市皮革業者の生活史
一九八〇年代の教育問題「管理教育」を聞き取る
「完全参加と平等」をめぐるストーリー―ある男性の国際障害者年の“経験”
「エイズ予防法」案に反対したレズビアンたち
ある家族の不登校をめぐる問題―不登校児の親の会のモデル・ストーリーとその抑圧性
書く実践と自己のリテラシー―『ふだんぎ』という空間の成立
著者等紹介
桜井厚[サクライアツシ]
立教大学社会学部教授。ライフヒストリー/ライフストーリー研究(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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