- ホーム
- > 和書
- > 人文
- > 哲学・思想
- > 構造主義・ポスト構造主義
内容説明
たえず「新しさ」を追求する不可逆な時間意識は伝統に反逆し、ついには自らにさえ敵対する過激な『モダン』の観念を生みだした。芸術創造の源泉ともなった『モダン』の危機的・逆説的なその本質を、ボードレール、ニーチェの鋭い考察をもとに壮大かつ緻密に論証する。
目次
1 モダンの概念
2 アヴァンギャルドの観念
3 デカダンスの観念
4 キッチュ
5 ポストモダンについて(1986年)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
サイバーパンツ
11
モダンには、進歩主義・技術主義を信じきった合理的モダンと、文化の自己批判性であり、前者の基本的価値観から聖性を剥ぎ落とす美的モダン、両義的な二つのモダンがあって、アヴァンギャルドもポストモダンも、結局、後者のうちに回収されてしまうんだよという話。前提とする知識が多く、なかなかハードルが高いが(正直なところ、あまり理解できていない)、無知なりにも、発見は多かった。モダニストはもちろんのこと、ポストモダン信奉者こそ、一度は読んでおくべき一冊。2017/03/15
しんかい32
2
近代は合理性、そして物質的繁栄と進歩主義を奉じる「実利的モダン」と、非合理性の立場からそれを批判する「美的モダン」の、二つの分裂した価値観を内包した時代であり、アヴァンギャルド、デカダンス、そしてポストモダンといった一見反モダン的なものは、じつは「美的モダン」の反映にすぎない、という驚くべき観念史を語った、もっと読まれるべき本。大学時代の恩師からこの本のことを教わった。私たちはいまだモダンの牢獄にいるのだ。2010/03/01
kyu121
0
キリスト教の反復不可能な時間意識の下、古代との対立から生まれたモダン観念は、ブルジョワ的モダンと美的モダンに分裂し、さらに後者は神の死のあと大きなパラドックスを孕んだ。その分裂や矛盾から生まれたアヴァンギャルド、デカダンス、キッチュ、ポストモダンは、不断の現在を乗り越える運動あるいはその反動であり、モダンの別の顔に過ぎない。しかしこの時間に関する共通の特徴を示すことで、逆にアヴァンギャルドに回収されず、デカダンスを乗り越え、キッチュを逆手にとる、真の意味でモダン=ポストモダンなものを浮かび上がらせている。2017/12/15