内容説明
20世紀初頭南太平洋ニューカレドニア島に宣教師として赴いた著者は当時植民地化され崩壊寸前のカナク人社会を救済すべく奮闘すると共に、彼らが生きてきた《神話的世界》の解体と再生の体験を深い共感をもって描き出し、「ド・カモ(本当の人間)」の意味に鋭く迫る。
目次
第1章 内なる言葉
第2章 身体の概念
第3章 生者と死者
第4章 文化層の神話語学検証
第5章 情緒的生とトーテミスム
第6章 時間
第7章 社会と祭壇
第8章 首長制の類型と神話的形
第9章 言葉
第10章 構築する言葉
第11章 メラネシア世界における人格の構造
第12章 神話
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
松本直哉
28
ニューカレドニアを暴力的に征服した宗主国フランスの植民地支配の手先の宣教師である著者が、それでも彼なりに誠実に、現地人の行動と思考の様式を理解しようする。「母・私」「父・の・私」の言葉遣いの違いから直接的な母と間接的な父の距離がわかる。父は妊娠における自らの役割を知らず、母が森を通りかかったときに「子供の芽」のようなものが体内に入ってできると考えられていた。明確な個人は存在せず、親族関係や自然物との関わりのなかにあってそれと一体として認識される我。その神話体系が西欧の侵略で崩れゆくさまも描写される。2020/10/22
★★★★★
1
これは少し評価が難しい。融即律や進化主義のしがらみは今の目からは受け入れがたいが、社会の成員に共有された内的な論理による世界認識の分析という点では先駆的にも思えます。2009/04/02
mori-ful
0
ラカンとの関連で読んだ。 https://jisuinigate.hatenablog.com/entry/2025/01/02/0107422025/01/01
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- 和書
- 神輿図鑑 〈2〉