感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
roughfractus02
11
前著『チーズとうじ虫』と同じ独自の文化を持つフリウリ地方が舞台の本書は、異端審問の裁判記録を通じて、キリスト教の真理・知・権力の独占と維持が行われる様子を16-7世紀の経過の中に浮かび上がらせる。「シャツ」(羊膜)に包まれて生まれた子供はペナンデンティ(善い魔法使い)と呼ばれ、成人になるとその一団は年4回、魂となって夜の野原に向かい、マランダンティ(悪い魔法使い)と戦う。勝てば豊作、負ければ凶作になるというこの農耕儀礼は、異端審問では魔女信仰の烙印を押され、<無知>の農民たちは時間をかけて<教化>される。2020/04/09
hitotoseno
11
歴史は勝者によって書かれるとはしばしば語られるところであるが、より具体的にいうと現在残っている文書のほとんどは権力者によって書かれたものである。当然、その文章にはある種のバイアスが加えられ、そこに描かれる民衆は、権力の眼を介した民衆として描かれざるをえない。かつてフーコーは権力との衝突点において民衆がとる抵抗を重視し、本来ならばそうした文書に残るはずもなかった人々が偶然にも権力と出会った際にどんなふるまいを見せたかを読み取ることこそ文学のやる仕事だと述べた。それを最も実践しているのがギンズブルグである。2017/08/16
いなほ
1
軽くさらっと もう一回読みたい 夜の集会の描写が面白かった。2014/01/07
j1296118
0
繰り返し行われる異端審問の記録を通して描かれる、農村社会の民間信仰・豊穣儀礼が数十年をかけて悪魔崇拝へと移り変わってく(押し込まれて行く)様子。 比較的穏当で気の長い努力をする教会の皆様2016/07/07
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