出版社内容情報
フーコー、ドゥルーズ、バルト、ロブ=グリエ等フランス現代知の戦略的導入をいち早く試みた本書は、著者の提示する表層批評の原点を示し、何よりも絶好の現代思想入門たりえている
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
しゅん
13
単行本デビュー作。当時は日本からの興味の視線も強かったであろうフランスの知の相貌の現地紹介者を、著者は居心地悪そうに引き受ける。同時に、お前らが求めてる「知識」なんてここにはないんだ、そんな「知識」が崩れる地点で初めて「知」は現れるんだということを、文体自体で感得せしめんとする。蓮實重彦のトレードマークと目される「テマティズム」を、本人はここで両義的に、というか少し批判気味に記している。ドゥルーズ、ロブ・グリエ、フーコー、バルトとの会話の記録が、やはり一番の白眉か。蓮實を絶賛するバルトが微笑ましい。2021/12/28
♨️
4
少しでも著作を読んだことあるドゥルーズ、フーコー、バルト論(およびインタビュー、贅沢!)に関していえば、すごく素直にキーモチーフをついている気がして(インタビューで各々の人物に褒められてるのをそのまんま載せているのが良い笑)、これらの人物についてはそのことこそが、批評家としての面目躍如になっていることが面白かった。例えば、ドゥルーズならば「と」(「差異と反復」「資本主義と分裂症」)であり、フーコーならばフーコーの実践については「知」「権力」の枠組みからどう捉えられるのかであり、2021/07/03
小川一輝
4
ドゥルーズ、ロブ・グリエ、フーコー、バルト、リシャールと名前を聞くだけで面倒くさい面々に対する蓮實重彦によるテキスト批評。本当に読めたのか些かの自信もないのだけれど各人のテキストが想起させる空間、質量、時間、欲望、運動をどこか滑りのある手際で抽出していく。文学に付き纏う「深さ」や「思想」を読み手の怠慢と捏造であるという批判は最初に接したときはまさに!と膝を打った。テキストは書き手からは独立して存在し読み手に作用するのでは?と種々の評論を読みながら疑問に思っていた身としてはまさに福音だった。2018/03/03
PukaPuka
3
蓮實重彦がロブ=グリエにインタビュー、というので読んだ。インタビューの前の批評と合わせて、日本語の翻訳の訳者解説に対する批判的コメントが、作家の理解に有用であった。 それ以外については、フーコーの狂気の歴史、バルトの記号の帝国をめぐる話が役に立った。語られている本を読んでからまたこの本に戻れば、もっと面白いでしょう。2019/05/23
アレ
1
どの対談もとても興味深かった。「書く」とは自分でなくなること。〆もよい。2010/07/12