目次
1 スティグマと社会的アイデンティティ(予備的考察;同類と事情通 ほか)
2 情報制御と個人的アイデンティティ(すでに信頼を失った者と信頼を失う事情のある者;社会的情報 ほか)
3 集団帰属と自我アイデンティティ(両価的感情;職業的代弁者による問題呈示 ほか)
4 自己とその他者(さまざまな逸脱行為と基準;逸脱点のある常人 ほか)
5 さまざまな逸脱行為と逸脱
著者等紹介
石黒毅[イシグロタケシ]
1931年生まれ。慶応義塾大学文学部大学院文学研究科哲学専攻修了。現在、南山大学文学部名誉教授。訳書にE・ゴッフマン『アサイラム』『行為と演技―日常生活における自己呈示』(誠信書房)、S・コーエン/L・テイラー『離脱の試み―日常生活への抵抗』(法政大学出版局)、イーヴ・ヴァンカン『アーヴィング・ゴッフマン』(せりか書房)
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感想・レビュー
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ころこ
42
良く分からなければ、まとまっている第4章を読むと良い。社会的アイデンティティ、個人的アイデンティティ、自我アイデンティティの3つに分けたあたかも精神分析のようなアプローチや、前半の多数の事例の列挙のような相互性の演劇的アプローチが持ち味の独特の書き方がされている。スティグマは実体的なものもあるが固定したものではなく、特定の社会規範、文脈における社会関係で生じる。訳者あとがきをはじめ以上の様には書かれているので、「彼はほとんどあらゆる社会的場面で演じられている」と言ってしまう著者の語りを味わう本なのだろう。2023/11/23
livre_film2020
31
難しい!多分、上澄しか理解できていない!ただ、重要だと思うのは「誰もがスティグマ所有者になり得、それゆえに『こいつがこのスティグマ所有者だ』とラベル付けすることはできな。」ということだ。とはいえ、スティグマ所有者にはある程度の共通点(良い適応やパッシング等をする)があり、全く一括りにできないというわけでもない。具体例がいくつか示されていたが、自分の身の回りでパッとぴったりの例が思い付かず、宙ぶらりん状態。いつか腑に落ちる日が来るのだろうか。2022/10/05
ゆう。
25
スティグマとは何か、なぜ人々はスティグマがある存在となるのか、それを知りたくて読みました。僕にとってはとても難しい内容でした。社会福祉においては、福祉を受けること=恥という認識が少なからず存在します。それは、社会福祉サービス(生活保護など)を受けることにスティグマが存在するからです。著書の内容からは外れますが、自助・互助を基本し、共助が補う社会福祉の視点からは、権利としての社会福祉は成り立たず、スティグマもなくならないのではないかと思いました。この本の内容を深めるためには、今の僕では勉強不足ですね^^;;2016/06/24
テツ
9
スティグマは個人が個人として所有するわけではない。膨大な数の他人と(否応なく)関わる中で、それは傷として認識されて痛みを発する。そりゃそうだ。世界に自分ただ一人なら違いや差、優劣という概念すら存在しないのだから。そうした他者との関係性の上に築かれたアイデンティティの上に乗せられた決して取り除かれないスティグマについての諸々の思考と、それをもつ(もたされた)人々への理解と、もたない人々との違いについて。正直半分も理解できていないので近いうちに再読します。2023/05/01
きくらげ
8
何度も挫折して数年越しにようやく通読した。読み終えた今思えば、何でこんなところで止まってしまっていたのだろう。内容が取りまとまって理解できたかというとまた別だ。所属した集団によってスティグマを持つ者と常人の関係性は都度入れ替わる関係論的な捉え方がなされている。スティグマを持たされる役割の人がどう振る舞い、どう感じるか(情報を統御する、日常生活の場面で苦悩を感じる)が詳細に記されるが、どう振る舞うべきかは主眼にないようだ。2018/05/08
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