内容説明
島を愛する旅人の純子と、故郷の沖縄を出て東京のキャリアウーマンとして生きる成子。「おんな一人旅の宿」というテーマで奄美諸島の神秘の島々を取材する二人だが、彼女らが見つけたものは、取材の目的以上の大きなもの。それは、それぞれが背負う「宿命」だった―。第1回日本ラブストーリー大賞・大賞作『カフーを待ちわびて』の明青と幸の暮らしの傍でくり広げられていた、もう一つの感動ストーリー。
著者等紹介
原田マハ[ハラダマハ]
1962年、東京都生まれ。関西学院大学文学部日本文学科および早稲田大学第二文学部美術史科を卒業。伊藤忠商事、森ビル森美術館設立準備室に勤める。森美術館時代に、ニューヨーク近代美術館(MoMA)に派遣され勤務。2002年よりフリーのキュレーター、カルチャーライターとして活動。2005年『カフーを待ちわびて』で第一回「日本ラブストーリー大賞」を受賞、デビュー。本作は2009年に映画化され、35万部を超える大ヒット作となる。2015年5月『楽園のカンヴァス』(新潮社刊)で第25回山本周五郎賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ミカママ
455
『カフー』のサイドストーリー的なこちらは、マハさんお得意の「奄美の島」と、花をモチーフの作品。花の画像をググりながら読んだ。恋愛要素が少ない分、現実的というか、マハさんの離島愛(開発反対)の信念が読める…にしても1ページあたりの文字数、少なすぎやしないか?(笑)2019/08/23
yoshida
254
「カフーを待ちわびて」の後日談があると知り、本作を手に取りました。「カフー」のリゾートホテル開発を軸に携わる人々をそれぞれの象徴的な花で描く。家族との関わりが大きいですね。妻が仕事に打ち込みすぎ、夫とすれ違い離婚する夫婦。母の細腕ひとつで育てられた兄妹。妹は老いた母と住むが、認知症となってしまった母の言葉と激務に疲れはて沖縄へ滞在する。妹が訪れた離島の民宿。ユタの言葉により母の死が近いと知らされるが。恋愛物というより、家族や夫婦の絆を描いた作品です。「カフー」の後日談が分かり安心しました。一気読みでした。2016/10/09
mae.dat
252
『カフーを待ちわびて』のスピンオフのオムニバス風な連作5話。前作を読まなくてもストーリーは追えるかも知れませんが、と言うか、一応別の話になっていますけど。でも人物の関係性やストーリーの機微、あの時のことやそれからの話などが語られますので、前作は読んでおく事を強目に推奨したいですね。タイトルにある様に“花”に彩られて話が進行するの。楽しい工夫ですね。人々の温かさや、緩やかな沖縄時間が好いですね。でも、主人公の純子さんの境遇は厳しくてね、苛まれることあります。穏やかな日々を過ごせます様に。2023/01/06
さてさて
211
原田マハさんのデビュー作「カフーを待ちわびて」の舞台で繰り広げられる”もうひとつの感動ドラマ”という位置付けのこの作品。沖縄の離島にそれぞれの思いを持つ二人の女性の人生の転機を切り取ったその物語は、沖縄ならではの美しい自然と、そこに咲く美しい花々が物語の中に上手く描かれていました。そして、そんな美しい自然を私たちが楽しむためのリゾート開発を前に交錯する立場の異なる人々の思いが描かれるこの作品。「カフーを」とはまた異なる読後感を味わうことになる、「カフーを」を読んだ人には必読の作品だと思いました。2020/12/30
masa@レビューお休み中
191
南の島の美しい景色がここかしこにあって、その美しさにうっとりとしてしまいます。沖縄の与那喜島をはじめ、奄美大島の与路島、加計呂麻島もでてくるのです。今回はダイビングショップで働いている純子と奈津子、故郷をでて東京で働いている成子が中心になって話が進んでいきます。故郷に戻ることができない純子と奈津子、故郷を離れてはじめてその良さを実感している成子。与那喜島の再開発問題で、島人たちの心が揺れる中で、彼女たちの心もまた揺れていきます。夫婦とは、家族とは、生きるとは何かを考えさせられる愛と感動に包まれた物語です。2015/07/02