内容説明
口にフックをかけられ、マンションの13階からぶら下げられた女性の全裸死体。傍らには子供が書いたような稚拙な犯行声明文。街を恐怖と混乱の渦に陥れる殺人鬼「カエル男」による最初の犯行だった。警察の捜査が進展しないなか、第二、第三と殺人事件が発生し、街中はパニックに…。無秩序に猟奇的な殺人を続けるカエル男の目的とは?正体とは?警察は犯人をとめることができるのか。
著者等紹介
中山七里[ナカヤマシチリ]
1961年、岐阜県生まれ。花園大学文学部国文科卒業。『さよならドビュッシー』(宝島社文庫)で第8回『このミステリーがすごい!』大賞を受賞しデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
黎明卿(禍腐渦狂紳士タッキー)
1345
【かえるはぜんぶぼくのおもちゃだ】吊るされ、潰され、解剖され、焼かれる犠牲者たちの遺体。人間の尊厳を踏み躙る残虐な方法と、現場に残される稚拙な文章。カエル男によって翻弄される警察に市民たち。恐怖のあまりに市民たちが暴徒と化して警察とバトったり、古手川が色々と大変な目に遭ったりとハラハラしっぱなしでした。犯人らしき独白も混ぜてあり、登場人物と照らし合わせると怪しい人物がすぐに思い浮かぶけどその予想を嘲笑うどんでん返し返しな展開が非常に面白かったし、最後のオチは背筋が凍りますね。因果応報、まさにその通り。2019/06/09
zero1
1316
心神喪失者の罰と社会復帰問題を強く訴えた。連続殺人の意味は?警察への挑戦状は後に思わぬ波紋を呼ぶ。某有名作品の二番煎じではなく、刑法39条など社会的に訴えるものが多い。終盤は真相の裏に、さらなる真相が隠されていた。ミスディレクションも見事。古手川など他の作品とのリンク(後述)を確認すべく再読。表現がグロくて痛いので、読者によっては敬遠するはず。それでも読む価値がある秀作。警察署内を描写するため、作者は苦労している(後述)。第8回「このミス」最終選考にダブルエントリー。18年続編の「ふたたび」が出ている。2020/02/13
ウッディ
1178
猟奇殺人現場に残されていた小学生の作文のようなメモ、動機や事件の関連性が分からず、市民を恐怖に落とし入れたカエル男。渡瀬と古手川は犯人をあげることができるのか?中山さんらしい後半のどんでん返しとラストの衝撃はさすがでした。ただ、市民がパニックになり、警察署を襲うあたりは無理があるかと思いました。父から性的虐待を受け、殺人を犯した過去を持つナツオが誰か?刑法第39条の是非について、少年院で御子柴礼司を救ったピアニストの登場など、読み応えはありました。続編も楽しみです。2019/08/11
青乃108号
1146
作中繰り返し登場する、アシュケナージ「悲壮」を何度も聴きながら、中盤からは一気読みだった。若手刑事の打たれ強さが凄い。ダイ・ハードのジョン・マクレーン並みの不死身の活躍。いや、中盤以降のストーリーの運びも見せ場の連続で、それこそダイ・ハードのそれを思い出させる。映像でなく文字だけで、ここまで強烈に惹き付ける著者の筆力、恐るべし。そして全編を通じて感じた骨太の印象はそのテーマの重さゆえだろう。イヤミスの範疇に入る作品なのかも知れないが、読後感は悪くない。勧善懲悪。因果応報。傑作だと思います。2022/03/28
れみ
832
埼玉県警の渡瀬・古手川コンビが連続猟奇殺人事件に挑むお話。予想はしてたけどかなりグロいし終盤にかけての古手川の痛めつけられ方がハンパない。でも、というかだからこそというべきか、読むのがやめられない。なんとも後味の悪い、しかも昔みたホラー映画のようなラストがたまらなくモヤモヤする…!2014/09/08