内容説明
ナザレのイエスが自らの命をかけて実現しようとしたものとは?イエスの苛烈な生涯、過乗な愛の言葉。罪と救済、戒律と自由、罰と慈愛…「旧約」と対極をなす新約聖書のすべて。ドレの版画78点収録。
目次
第1章 イエスの出現(イエスが生まれる頃のユダヤ;受胎告知 ほか)
第2章 布教(十二人の弟子を選ぶ;弟子を戒めるイエス ほか)
第3章 受難(エルサレムに入るイエス;ファリサイ派をやり込めるイエス ほか)
第4章 復活、その後(復活;弟子達の前に現われたイエス ほか)
著者等紹介
谷口江里也[タニグチエリヤ]
詩人。ヴィジョンアーキテクト。スペースコンポーザー。表現史家。ソングライター。石川県出身、横浜国立大学建築学科卒。言語、イメージ、建築空間、音楽などの表現空間を対象に、多彩で複合的な創造活動を自在に繰り広げるマルチクリエイター。エポックメイキングな空間創造に参画するほか、資生堂や富士ゼロックスなどの企業の文化経営戦略プロジェクトのデザイン、ヴィジョン創造なども行っている。大学在学時代からシンガーソングライターとして音楽活動を行い、70年代初頭の横浜の音楽ムーヴメントに重要な役割を果たした(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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優希
36
ドレの挿絵がとにかく美しいです。新約聖書のエピソードを断片的につないでいますが、イエス・キリストの一大叙事詩として読むことができると思います。誕生から十字架の贖いの死、そして最後の審判に至るまでの話をコンパクト且つ大胆にまとめている印象です。聖書そのものには同じエピソードでも異なる視点で描かれているものが沢山あるので、勿論新約聖書そのものを読むとより奥深くイエス像が作れると思いますが、新約聖書を物語として読むにはとてもいい本だと思います。美麗な簡易聖書と言ってもいいかもしれません。個人的には楽しめました。2014/07/15
優希
35
新約聖書の様々なエピソードを断片的に繋いだ、イエス様の一大叙事詩として読めると思いました。誕生から十字架、最後の審判に至るまでの物語をコンパクトにまとめており、美麗なドレの挿絵も美しくて読んでいて世界にどっぷり浸かってしまいました。2024/03/30
れぐるす
9
キリスト教圏の作品を読むのに少しでも理解が深まればと…。簡易版新約聖書として読みやすいし、何より挿絵がとても綺麗。2016/02/20
roughfractus02
7
マタイ、マルコ、ルカ、ヨハネの四福音書の異同を比較し、そこに共通のイエスの言動を見出す聖書解釈学でも、細部の違いから各福音書の歴史背景を探る歴史学でもない。本書は聖書を古典文学として、イエスを受難より悲劇の主人公として描き、木口木版の細密な78枚の版画も、悲劇の英雄の微妙な表情を描くように見える。訳者によれば、本書表紙の挿絵では嬉々とした表情でイエスを試す悪魔に対し、辟易するイエスの表情も読み取れるという(あとがき)。復活、パウロの布教、黙示録へと向かう後半では、各挿絵のスペクタクルの度合いも増してくる。2022/10/07
みのくま
7
「ドレの旧約聖書」を読んだので本書も読んでみた。こちらのドレの絵は旧約と比べてとても良かった。旧約はストーリーとしてもあまり出来が良くなく、また沙漠が舞台である事も多いので、連作として絵画を見るとあまりうまくないのだろう。他方、新約は基本的にイエスの一代記なので、イエスを中心にストーリーが展開する。つまり人物の表情や挙動が絵画の主役となるため、ドレの絵は生きるのだろう。ちなみにぼくが好きな絵は「サマリアの女と渇くことのない水」。座るイエスと親しげに話す女は、そこに上位関係はない。しかし解説文は全体的にダメ2019/12/31