内容説明
一九九三年に精神対話士が生まれて以来、ネガティブな精神状態に陥ったさまざまな人たちとの対話を通して、再び元気を取り戻していただくことに成果をあげてきました。本書では、その精神対話士の「対話」の本質をわかりやすく解説しています。お読みいただければ、現代社会で忘れられがちな「対話」の素晴らしさに気づかれることでしょう。また、人の話を「聴く」という行為が偉大な力を持っていることに驚かれるでしょう。
目次
「聴く」知性がいま現代人に求められている
「聴く」ことで人を癒す心のケアの専門職・精神対話士
ただ「聞く」のではなく、心で「聴く」ことが大事
対話には、「理解」よりも「共感」が必要
気持ちが受け止められたとき、話し手は十分な満足を得る
共感と「プラスの言葉」が生きる希望を生み出す
話し相手の斜め前か、思い切って横に座る
おらかな気分で話を聴く
話し手の不安を解消して、「共感」を呼ぶ相づちの打ち方
「安易な理解」を示すと、話し手の信頼を失う〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
akiᵕ̈
29
慶應義塾大学医学部出身の医師たちが中心になって設立し、養老孟司氏が顧問を務めるメンタルケア協会の資格制度である「精神対話士」。カウンセラーとはまた違うアプローチで悩める人の心のケアをする。話を"きく”には『聴く』と『聞く』があるけど、相手の話を積極的に聞く場合の『聴く』に特化した技術。どれだけ相手の発する言葉の裏側にある感情を読み取り、それを受け止めることができるか、どれだけ相手の辛さに一緒に寄り添っていけるか。確かにそれらを理解した上での技術が必要なんだと思う。聴き上手になるためのコツ、心得たい。2023/04/01
アナクマ
13
カール・ロジャース式(?)、93年に立ち上げられた精神対話士/メンタルケア協会による対話術。◉14章_隠れた感情を代弁する。30章_いきなり〈なぜ?〉と尋ねない。53章_声のトーン・目線・目の高さを合わせる。56章_要約して迷走を助ける。60章_不満を受けとめる。61章_希望のタネをまく。ただし「希望の火は他人が押しつけてもすぐに消えます」63章_聴き手のセルフケア(身体を動かすのが効果的)。「対話というのは、相手を助けるためではなく、自分の心をより高い次元に導くための高度な精神活動にほかなりません」2024/04/15
すーたぬ
8
聞き上手ではないと思ってるので読んだ。具体的なテクニック?は少しかかれてるだけだけど、相手の話の裏側にあるメッセージを読み取ることが大切だと再確認できて良かった。自分の気持ちを押し付けるばかりで、すぐに忘れてしまう。私がどんなに一人で生きていたいと願っても、人と関わらないと生活できない。人付き合いで悩まない為には、聴く力を高めないとダメだ。問題の核心に触れない話の聴き方というのは、自分の父親がやってくるかも…と納得しつつ、相手の話を全て肯定するのはちょっとなぁ?wと疑問を抱いたって感じの感想です。2019/09/23
まげりん
8
思春期の子育て講演会で、「子供の話を聞いて、言いたいことは明日言う作戦」というのを教えてもらって、ならば傾聴を知ろうと思って読んだ。沈黙が怖くてついしゃべり続ける自分だが、復唱するから始めてみようと思った。2016/07/13
豊平川散歩
5
「精神対話士」の職業名は初めて聞いたが、されているお仕事の内容は知っていた。こういうお仕事をされている方々のことをいうのだ。様々な状況のもと、精神的に病んでいる方々から、心が楽になるように対話するのは、それを職業とする精神対話士でも大変だろう。逆に精神的に参ってしまうのではないかと思う。「この人なら話を聴いてくれる」と相手が感じたから、話してくれたのだ。いかに、相手の身になって対話できるか。大変参考になった。2024/01/17