夫殺し

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  • サイズ B6判/ページ数 206p /高さ 20cm
  • 商品コード 9784796606363
  • NDC分類 923.7
  • Cコード C0097

内容説明

林市はなぜ夫を殺害し、その死体を切り刻んだのか?飢えのためにいきずりの兵士に身を任せ、一族により川に沈められた母と、少量の豚肉との交換で屠夫のもとに嫁にだされた娘…。嗜虐的な凌辱、獣のようなセックス、飢えと恐怖と絶望の果てに、林市が見たものは?中国社会の暗部を怒りと悲しみで描き、容赦なく人間性の最深部を抉る現代台湾フェミニズム文学の最高傑作。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

たまきら

30
学もない。頼れる身内もいない。自信もなく、友人もなく、日々をすべてのことにおびえながら生きている女性…。映画「ダンサー・イン・ザ・ダーク」もうんざりしたけれど、彼女には愛せる人たちが少なくともいた。こちら主人公の孤独と被る虐待の描写は目も当てられぬ。女は忍耐を強いられてきた。それは今も続いている。その事実を痛烈につきつけるための小説なのかもしれないが、設定がブルーカラー過ぎて逆に「貧しい人間はこれだから」でくくられてしまう気がした。菊娘の話は日本の怪談と似ていてびっくり。2021/02/24

松本直哉

18
同じ著者の『眠れる美男』が川端のパロディとして男女の役割を顛倒したように、本書でも、「殺す主体」の男女の顛倒がある。屠畜業の夫の振り下ろす刀から豚の内臓や血液がほとばしり出るが、その刀は、夫の言いなりにならない妻へも向けられる。殺される瀬戸際で刀が反転し、妻が眠れる夫の腹を切り裂く。迸る血液は前半の屠畜の場面と正確に対を成している。凄まじいDVの果ての大逆襲に思わず溜飲を下げてしまうが、殺された夫の、職業ゆえの差別と侮蔑にも留意したい。社会的に疎外された男が、さらに弱い者にルサンチマンの矛先を向ける構図。2025/10/07

青色夜ふかし

4
舞台は1940年代、台湾中部鹿港。 屠場労働者である夫が嫁いできた女に殺害される。 女性差別・職業差別の中で傷ついた登場人物、土地に根付く宗教に縛られた生活、が描かれる。 ▽夫殺しは『血』の物語だ。 屠殺、豚から吹き出る血。首吊り神に捧げる生煮えの豚の血。屠夫から陵辱され女から流れ出る血。下唇を噛み締め流れた塩辛い臭いがする血。惨殺されたアヒルから流れでる血。幻覚の中で殺害した夫の内臓から吹き出る血。▽人と獣の境界がわからなくなるくらいに凄惨な場面を描きこの時代の重苦しい空気を告発した物語だ。2017/07/08

yonemy

3
本人が何とかできる範疇を越えた定め。気の毒としか言いようがない。宗教や土着の習俗に縛られた暮らしは、精神的に閉塞感がすごそう。衣食住だけでは足りない、魂の自由って尊いものだと痛感した。2024/05/08

芋煮うどん

2
とにかく陰惨。救いがない2013/09/13

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