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内容説明
吾輩は猫である。名前はまだ無い。ちなみに鼠はまだ取ったことが無い。偏屈な引きこもり教師の苦沙弥先生と、その家に出入りする友人の美学者・迷亭、苦み走った理学士、正直者の詩人、禅坊主崩れの哲学者―猫の目線で描く滑稽な人間観察記。呑気と見える人々も、心の底を叩いて見ると、どこか悲しい音がする。人間世界を鋭く風刺した不朽の快作。声優・梶裕貴が紡ぐ名場面抜粋の朗読CDを封入。
著者等紹介
夏目漱石[ナツメソウセキ]
1867年、現在の新宿区喜久井町に生まれる。本名は夏目金之助。英語教師の職を経て、英国へ留学。帰国後、1905年「吾輩は猫である」を発表。数々の傑作を世に残す。1916年永眠(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
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夢月
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明治時代の日本、英語教師の主人の家に住み着いた一匹の猫による観察記。風刺とユーモアがたっぷりな猫目線の物語だが、文明開化という時代の岐路に立たされた人々のもの悲しさも浮かぶ。苦沙弥先生と家族、家に集まってくるほら吹きな友人の迷亭や理学士の元教え子の寒月など、個性豊かだが癖の強い登場人物が、ぐだぐだと実のないけれど、聞いている分には面白い話を繰り広げる。自分の人生に不満を表している彼らだが、ああいうことを話せる相手がいるのはいいことように思える。いつ読んでも、当時の空気感や肌触りを感じられる名作だった。2021/12/03