内容説明
“異物への不寛容”が蔓延する社会を、統一教会信者はどのように生きたか。「スピリチュアル」時代における、本当の“救い”はどこにあるのか。合同結婚式騒動から15年―忘れられた日本人の知られざる攻防史。
目次
第1部 麻子の物語(四つの断章;私は統一教会信者です;あーちゃんを探さなきゃ;家族ごっこ;まだ原理を信じているのか;引き裂かれた家族;剥がれたメッキ)
第2部 カルトと反カルトの間で(暗い歴史;野犬狩り;再生か解体か;借金集団;信者とは誰か;水面下の攻防;韓国に渡った花嫁たち)
著者等紹介
米本和広[ヨネモトカズヒロ]
1950年島根県生まれ。ルポライター。横浜市立大学卒業。「繊研新聞」記者を経て、フリーに(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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syaori
49
統一教会からの脱会を追った本。家族を監禁して脱会を迫る強制説得と、そのPTSDに苦しむ(元)信者や家族が描かれます。作者が繰り返すのは、強制説得は大きな心の傷となり親子関係を「滅茶苦茶に」するということ。監禁による説得で「子どもが新たに獲得した価値観」を一方的に否定し、子供と「向き合う」ことを避けてはいけないということ。本書は統一教会からの脱会を巡る物語ですが、人生の様々な場面で子の幸せを願う親と、親の理想通りに生きられない子の相克はあるもの。そういう意味でこの本の悲劇は遠い出来事ではないのだと思います。2020/03/11
ランドル
1
統一教会の例の事件で米本さん有名になってしまいましたが。今回の書籍はちょっと意外に感じた。というのも著者=NOカルト!と思っていたのでカルトの話以外を書いていることに気が付いてちょっと驚いた。著者は何が何でも脱会させることがいい!と思っているわけではないっていうことを今更気づいた。家族って難しいねえ2024/09/02
Akio Kudo
1
★★★ 読んでいて半統一教会の弁護士の中でも確執や意見の違いがあることを知る。どちらにしてもカルトの子達が不憫でならない2022/09/18
sucksuckhello
1
橘玲のツイートから読み始めた。安倍晋三銃撃犯が手紙を送ったジャーナリストがこの本の著者である米本和広である。まず馬鹿の感想だが、凄い本を読んでしまったと思った。安倍晋三の銃撃事件をきっかけに統一教会と自民党の癒着が問い直されていると同時に、マスコミでも統一教会の異様さを伝える報道が連日行われている中で、どうしてこの本の異様な執念と労力に基づいた分析には言及が行われていないのか。脱洗脳と称して信者の拉致・監禁を正当化し、それを批判もしない輩がこれを機とばかりにいまも統一教会を一方的に非難している。2022/08/27
ybhkr
0
恐ろしい話である。成人して社会生活を営んでいる子供に対してやることじゃない。もしこれがまだ親がかりの学生ならば仕方ないとしても、社会人に対してこれはない。脱洗脳をやる人々の傲慢さ、また脱洗脳の人々に洗脳されているとしか想えない家族に恐怖を感じる。神父や牧師だからといって人間性が優れているわけではない。個人差はあるだろう。どんな宗教でも歴史からわかるはず。黒島と清水の自己顕示欲や拝金主義や世間知らずには聖職者以前に人間性に問題がある。そんなことにも気づかない洗脳された家族もまた被害者なのだろう。2016/03/27