内容説明
名誉ある主任教授になっての1年間、日英の間を張り切って駆けめぐる「ブーちゃん」のユーモアとアイロニー、そして意外なるイギリス学界の実状。英国の「日本研究」気鋭学者が日本語で書き下ろしたヨーロッパの中に映る「日本の顔」と「日本の比重」。
目次
第1章 秋学期(ロンドン大学東洋アフリカ研究所;新任教授の行動;授業開始;オニール先生の残した課題;入学希望者の面接;来日準備)
第2章 冬休み(日本再発見の味;挨拶回り;札幌とロンドン;「国際化」のむずかしさ)
第3章 春学期(イラツキの主任教授;SOASを強力に;日本語学科の手術;内緒話は山手線のように;イギリス人の根性)
第4章 春休み(ある日本人作家の誤解;イスラエル)
第5章 夏学期(利用される大国ニッポン;英国のケチ伝統;ロンドン大学の「日本研究」史;愛しの我が生徒)
第6章 夏休み(スタートする夏期講座;日本語学の三つの課題)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kokada_jnet
74
1988年刊行。今年読んだ本で一番、面白い本だった。著者は世界放浪した後、日本に住み「不良外人」となり、陶芸運動の研究でロンドン大学社会学の博士となった人。43歳で母校の日本語学科の主任教授となって1年間の記録。組織のための庶務作業の苦労。同僚との対立。有力者へのヨイショ活動。留学プログラムの新設の心労など。実に赤裸々に書かれていて、ここまで書いていいのかと感じる。日本のいい面も書いてあるが。マスコミや、官僚主義の酷さ、集団主義の気持ち悪さ、「国際交流」の美名の元の政治家崇拝などが、辛辣に批判されている。2023/09/24
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