内容説明
スロジャの花はまだ池に(西洋流の教育をうけ、英文学やクラシック音楽を愛する政府高官の1人娘ディアナ(愛称アンナ)。現実主義的な若手官吏の恋人ルスリとの結婚に逡巡や不安を感ずるなかで、アンナは次第に大学で民族学を学ぶ従兄リドワンに心惹かれていく―独立後のマレーシアに新しく出現した中流知識階級の人々の生活を背景に、2つの愛に迷いながらも、自己の“根ざすべき場所”を捜し求めていくマレー娘アンナを爽やかに描いた青春小説)。ほろ苦い思い出(日本兵からキャンディーをもらい、バナナの葉の機関銃で戦争ごっこをした子供の頃。政治運動で教職を追われた母に代わり生活費の足しに雑誌社に短篇を書き送った少女時代。そして“新入生いじめ”で始まった大学生活―第2次大戦から独立前後の激動期のマレーシアを舞台に、多感な少女ハニムの魂の成長を時代の流れとともに描き出す。ジャーナリストの眼と作家の感性がとらえた自伝小説)