内容説明
“不可避の死”の運命を背負った死の武器・特殊潜航艇乗員の坂田少尉と稲田二等兵曹。果たしてこの若者二人は真の勇者なのか、演技の英雄なのか―刻々とその時が近づく。軍港・呉から密かに特潜を運ぶ伊号24潜水艦内は、ハワイが近づくにつれ切迫した重い空気と狂気性が満ちてきた!。真珠湾奇襲まで単独航行1ヵ月。密室艦内に飛び交う鮮烈な男の死生観とエロチシズム。そして緊迫感―。三島由紀夫氏が絶賛した20年前の名作―今甦える!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
こまったまこ
7
心にずっしりと残る作品で読んで良かった。死の武器と呼ばれた特殊潜航艇の搭乗員2名と、潜水艦に同乗する軍人たちとの濃密な人間ドラマが軍医の目を通して描かれている。潜水艦という特殊な環境の厳しさ、精神的な圧迫などが詳細に書き込まれ息苦しくなった。そんな中、特潜の二人の精神と肉体が作戦日に向かって傾斜していく。植物のように感情の揺らぎがなく死を超越したかのように見えた彼も『自分から志願しているようにふるまっているのは唯一の抵抗』と死を命令され受け入れることができずに苦悩していたことに胸が締め付けられた。2015/04/02
スルメ
4
三島由紀夫が絶賛したというので、読んでみた。なるほど三島が好きそうな小説。逃れられない死を目前にした男二人のなんとも言えない関係。よかったです2017/12/06
ゆき
2
★★★☆☆:「死の武器」特殊潜航艇に乗り込む坂田少尉と稲田二等兵曹。その二人を中心に同じ伊二十四に乗り合わせた乗組員達の生と死、そして宗教に対する考え方を、語り手である軍医がつぶさに観察している。話は呉の港から始まり真珠湾攻撃の数時間前までで終わるため、一切戦闘シーンなどはないが、とても緊迫していて悲壮感が感じられた。2013/09/15
はるち
2
死の事実に向かうことのみしか道が残されていない二人の心情や行動が綿密に描かれており、自分が語り手である軍医になったような気になってくる。作品の中に引き込むことが大変うまい。死に対する意味や考え方を一つの意見のみ描くのではなく、何人もの意見を描いた点も押し付けがましくなく良かった。2013/08/22
ライアン
1
三島さんが絶賛されていたと知り、気になって読み始めたのですが、一気に読み切ってしまいました。読まずにはいられないくらい、引き込まれました。2013/03/18
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