内容説明
今世紀、いやオペラ全史を通して最も偉大な歌手であるマリア・カラス。その栄光の最盛期に、彼女はファンからの称賛の手紙と同時に、実に多くの彼女を辱め、侮辱する手紙をもらっていた。そして、彼女はそれらの忌まわしい手紙を保存していた。なぜ、彼女は自分を侮辱する手紙だけを取っておいたのだろうか?彼女の誕生を喜ばなかった母親。彼女のことよりも自分の貪欲を優先させたメネギーニ、卑劣な裏切りをしたオナシス、友人を装っていただけのスカラ座総支配人ギリンゲッリ。彼女の芸術を理解できず酷評する批評家たち。純真で情熱的な彼女を理解しようともせず、悪意にスキャンダルを追うマスコミ。この偉大な歌手はその栄光の陰で、真の友人もなく屈辱の日々を送っていたのだ。そして孤独で謎に包まれた死。著者レンツォ・アッレーグリは、マリア・カラスとの交流や多くの個人的な資料を通して、マリア・カラスの真の、そして悲痛な生涯を明らかにする。ディエーゴ・ファブリ賞受賞。
目次
侮辱の手紙の謎
そんな子、見たくもない
ジャッキーのかげで
ギリシアのシンデレラ
アテネのオペラ劇場から放逐
アメリカでの仕事さがし
金がとりもった愛
メネギーニは彼女に飽きがきていた
彼女は見込みがないですね
思いのままにならない歌〔ほか〕