内容説明
発達系女子のご真ん中を行く妻、御年41歳、子ども無し。働く意思も無く自発的に家事をするでもなく、テレビと猫とゲームにまみれて家から出ようともしないプチひきこもり。シングルインカムでワンオペ家事の夫は鬱憤蓄積し、いつしか妻に叱責や暴言をぶつけるモラハラ男に。しかし夫が脳梗塞で倒れ「後天的発達障害」ともいえる高次脳機能障害になり関係性が激変。夫は妻の「不自由」や「苦手」を徹底的に考察し、家庭改革に乗り出す。相互理解の困難と苦しさの渦中にある発達系女子×定型男子のふたりに贈る、読む処方箋。
目次
第1章 されど愛しき発達系女子
第2章 不自由な脳で生きる異世界
第3章 発達系女子が片付けられない
第4章 発達系女子と家事を分担できない
第5章 発達系女子と話が通じない
第6章 発達系女子と将来像の共有ができない
第7章 発達系女子が自分を大事にしてくれない
第8章 発達系女子が働いてくれない
最終章 発達系女子と生きる
著者等紹介
鈴木大介[スズキダイスケ]
子どもや女性、若者の貧困問題をテーマとするルポライターだったが、2015年に脳梗塞を発症。その後は高次脳機能障害者としての自身を取材した闘病記などを出版し、援助職全般向けの指南書『「脳コワ」さん支援ガイド』(医学書院)にて日本医学ジャーナリスト協会賞大賞受賞
いのうえさきこ[イノウエサキコ]
漫画家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ネギっ子gen
52
<これまで様々な視点の書籍が出版されている中で、本書は一言で言ってしまえば、発達系女子及び、そうした女性と共に暮らす男性パートナーをターゲットにした一冊です。類書としては、発達系男子と共に生きる女性(主に)が、その関係性構築の難しさから起こすカサンドラシンドロームにまつわる一群の本がありますが、本書はその逆のパターンを想定>。ワンオペ家事の夫は鬱憤蓄積し、妻に暴言をぶつけるモラハラ男に。その夫が脳梗塞で倒れ、高次脳機能障害になると関係性が激変。夫は妻の「不自由」や「苦手」を考察し、家庭改革を。漫画込み。⇒2021/10/27
読特
26
「片付けられない」「約束の時間が守れない」「未来の話ができない」のは何故?定型発達者と発達障害との大きな溝。ペットの気持ちを慮る、異国の文化を理解する。違うことが前提での想像は楽しい。同じはずなのに何かずれているのはストレス。「自分がおかしい?」不安から怒りへ。どう感じるのか、何を思考するのか。脳障害となり気づけた著者が解説し改善策を示す。広く人を理解するのに役立つ。それでも相手を完全にわかったつもりにならないこと。これは一例。人はそれぞれ違うし複雑だ。わからなくても理解しようという姿勢こそ重要なのだ。2021/09/09
ちくわ
19
「できている」側にはなかなか理解しにくいことを見事に言葉で説明してくれています。筆者の高次脳障害体験をきっかけに、パートナーの「できない」行動を論理的に理解し、活躍できるように仕組みを作るところまで。いやー、素晴らしいです。(☆5)2021/08/13
風地
7
今まで発達障害系の本はかなり読んできたけれど、この本のお役立ち度は相当なレベルだ。高次脳機能障害により、後天性の脳障害に見舞われた著者が、発達障害の妻との家庭生活を改善していく過程を教えてくれたわけだが。何がすごいって、定型脳→非定型脳になったことにより、発達障害の人が、どんな場面でどんなふうに困っているのかを、定型脳の人にわかるように翻訳しているところ。こんなに当事者の感じ方がわかる本はなかった。指示は短く!とか散々言われて知っていたけれど、そうじゃないとダメなんだ、という事がよくわかる。2021/09/23
しもふさ
5
「やらない」のではありません「できない」のです。最初に漫画があったのはよかったです。イメージがしやすくなりました。易疲労というのは脳の疲労であって一般的に想像される体力の消耗とはまるで次元が違うのですよね。環境調整のために努力していくところでも共感しました。「真の公平」についても社会は考えた方がいいと思います。この筆者の「脳・発達」シリーズは筆者が飾らず、ありのままの生の感情と思いが綴られていて、読んでいて胸を衝かれます。2021/06/26