内容説明
日々になにげないもの、さりげないもの、言葉でしか書けないものをとおして、おもいがけない光景を、透きとおった言葉にとらえた“絵のない絵本”。風の匂いがする。言葉の贈りものとしての、散文詩二章33篇。
目次
あのときかもしれない
おおきな木(おおきな木;花の店;路地;公園;山の道;驟雨;散歩;友人;三毛猫;海辺;梅堯臣;童話;柘榴;原っぱ;影法師;イヴァンさん;団栗;隠れんぼう;賀状;初詣;鉄棒;星屑;ピーターソン夫人;贈りもの)
著者等紹介
長田弘[オサダヒロシ]
詩人。1939年福島市生。早稲田大学第一文学部卒業。毎日出版文化賞、桑原武夫学芸賞、講談社出版文化賞、詩歌文学館賞、三好達治賞、毎日芸術賞などを受賞。2015年没(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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buchipanda3
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「この世でいちばん難しいのは、いちばん簡単なこと」。詩集。優しげな緑色の活字が穏やかに、でも揺るがない口調で語り掛けてくる。ふと立ち止まる、ゆっくりと心を落ち着かせる、そんな簡単なことが中々出来ない。急がないと、時間が勿体ない。でも子供の頃はそんなに急いでいなかった。なんで急がなくてはいけなくなったのだろう。まるでそうしないと幸せが逃げてしまうかのよう。でも本当はそうじゃないことをたぶん自分は知っている。ただ景色を眺める。日の光、そよぐ風、土の匂い。ただそうするだけ。そんな言葉を心に宿しながら本を閉じた。2022/07/12