内容説明
どの時代にも、その時代を象徴する伝染病がある。中世においてはペスト、大航海時代においては梅毒、そして進歩と帝国主義の時代と言われる19世紀のそれはコレラであった。インドの風土病だったコレラの襲来は、新しい都都市づくりを模索するヨーロッパの大都市、とりわけ、大英帝国の首都ロンドンに何をもたらしたか?人間中心の歴史観を排し、細菌の側から歴史をみつめなおした画期的名著、待望の復刊。
目次
第1章 風土病から世界的流行病へ
第2章 イギリス上陸
第3章 コレラとどう戦ったか
第4章 コレラと治療医学
第5章 生水、酒、紅茶
第6章 コレラ暴動
第7章 解剖の社会史
第8章 流行のあとで
著者等紹介
見市雅俊[ミイチマサトシ]
1946年東京生まれ。東京教育大学文学部卒業。一橋大学社会学研究科博士課程中退。京都大学人文科学研究所助手、和歌山大学経済学部助教授、中央大学文学部教授を経て、中央大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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hal
10
「画期的名著、待望の復刊」とあるのだが、確かに名著だと思った。コレラを中心に、主にイギリスの感染症関係の歴史をわかりやすくまとめている。エボラや新コロナでも散見されるような、陰謀論とか権力者や医療者への感情的非難とか、人間の心理は古今東西あまり変わらないのかなと改めて感じた。それでも、私も死後解体されるのは嫌かも。でも、医学の進歩のためには必要だった訳で、頑張った関係者たちには敬意を表したい。2020/09/18
かわかみ
6
コロナ禍が落ち着いたところで温故知新のために読んだ本。英国を、やはりコレラが流行した幕末日本と比べると、日本のように神仏に頼った除災儀礼こそ行わなれなかったが、瀉血や水銀化合物の服用など、怪しげな治療法が行われた点は大同小異だし、日本同様に流言飛語もあった。むしろ、リンチなどなかった分は日本の方がマシだが、英国では新聞により流言飛語が収まったとあるのはテレビが恐怖を煽った現代日本に暮らす自分には俄に信じがたい。いずれにせよ、人間は古今東西で似たようなことを繰り返すものだと知れた。2023/09/22
和泉花
1
なかなか読み応えのある本だった。注までばっちり読んだ。世界史というよりイギリスでは、という話が多かったが。2021/02/20
TI
0
ほぼイギリスでの歴史特に1830年代の流行についてが多い。とんでもない治療していたようだ。 スノウはほとんど出てこず。2023/01/29
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- 和書
- どんどんめくり