内容説明
「古事記」「日本書紀」から平安期の歌論書までを読み解き、歌の発生や和歌形式の成立までを統一的に論じた古典批評の書『初期歌謡論』、および同時期の評論や講演を収録。
目次
初期歌謡論
“初期”ということ“歌謡”ということ
初期歌謡
古代歌謡論
ある枕詞の話
枕詞の空間
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感想・レビュー
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3
いや、『初期歌謡論』はかなりすごいと思う。これ書けただけでも、吉本の仕事は十分だと思う。これほど時間的な長さを持った詩史は誰も書けなかった。そして、何故、詩は詩として自律性を持つのかという難題を、「初期歌謡」(『古事記』〜『新古今』までのスパン)という限定的枠組みながら、それを最終的には今現在の現代詩まで接続させてしまう力技!それをフォルマリズム的に、実証的に書いてしまったこと、この時期の吉本は冴えまくっている!2023/10/08
猫丸
0
初期歌謡論。同じ内容を2回繰り返す「虚喩」の見られる歌謡が最も古層にある、との仮説。 最後に現代詩の表出内容を枕詞の表現でズバリと言い換える例示があり、これがかなり説得的。最終的には言語感覚の範疇。どう見ても感覚のおかしい学者もいるからなあ。2018/06/04