内容説明
人と社会の核心にある問題に向けて、深く垂鉛をおろして考えつづけた思想家の全貌。大学紛争をひとつの背景とする『情況』、国家の思想としての天皇および天皇制論、そして重要な講演「南島論」を収録。
目次
1(島はみんな幻;“不可解なもの”のための非詩的なノート)
2(情況)
3(内村剛介への返信;行動の内部構造―心的行動と身体的行動 ほか)
4(内村剛介について;竹内好さん ほか)
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
0
吉本隆明の「差別論」(とも言えない「放言」だが)は一言で言えばひどい。というか、こういう部分で、68年の思想と吉本を分かつものの境界が存在している。気になるのは、柳田からの「南島論」とほぼ同じ時期に津村喬と論争を開始しているのが興味深い。結局のところ、「南島島」論に見られるような疎外論的な起源への遡行(ナショナリズムへの無自覚な頰かぶり)を破壊することこそが68年の最大の威力であろう。この頃は、まだ天皇制批判もしていたが、そのモチーフすらもなし崩しになくなる。必然的な成り行きだったとしか言えない。2023/10/02
-
- 和書
- 女が死んでいる 角川文庫