出版社内容情報
党派的な文学論を一掃するため、言語についての基礎的な考察から取り組まれた画期的な労作『言語にとって美とはなにか』を収録。
文庫版まえがき
選書のための覚書
序
第I章 言語の本質
1 発生の機構/2 進化の特性/3 音韻・韻律・品詞
第II章 言語の属性
1 意味/2 価値/3 文字・像/4 言語表現における像
第III章 韻律・撰択・転換・喩
1 短歌的表現/2 詩的表現/3 短歌的喩/4 散文的表現
第IV章 表現転移論
第I部 近代表出史論(I)
第II部 近代表出史論(II)
第III部 現代表出史論
第IV部 戦後表出史論
第V章 構成論
第I部 詩
第II部 物語
第III部 劇〈第I篇 成立論/第II篇 展開論〉
第VI章 内容と形式
1 芸術の内容と形式/2 文学の内容と形式/3 註/4 形式主義論争
第VII章 立場
第I部 言語的展開(I)
第II部 言語的展開(II)
あとがき
角川文庫版のためのあとがき
文庫版あとがき[ソフィア文庫]
索引
解題
【著者紹介】
1924年、東京・月島生まれ。詩人、文芸批評家、思想家。東京工業大学工学部電気化学科卒業後、工場に勤務しながら詩作や評論活動をつづける。日本の戦後思想に大きな影響を与え「戦後思想界の巨人」と呼ばれる。2012年3月16日逝去。
目次
言語にとって美とはなにか(言語の本質;言語の属性;韻律・撰択・転換・喩;表現転移論;構成論;内容と形式;立場)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
毒モナカジャンボ
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言語存在の自然法的研究を担うのが言語学だとするならば、本書は創造行為の一つである言語表現の科学であって、言語学とは別個に十分並列しうる試みだと思う。しかし言語表現の核心に指示表出と”自己”表出を置いたことは勇気のいることだったに違いない。思想界において既に主体は解体されつつあったのだから。しかし原理的に考えることを旨とする吉本の姿勢からすれば、言語表現に不可欠なものは何よりもまず言語であり、それを紡いだ作者である。言語の意味と価値を先述した二つの表出のコアの違いに見出し、文学の価値を定義しきる。2020/05/26