内容説明
死とは何だろう?寅さんとして生きた渥美清の死、臨終の妻を被写体としてシャッターをきりつづけた写真家荒木経惟の夫婦愛、江藤淳が残した四つの遺書、死期を迎えたペットのコッコ…。現実の社会でおきた事件や文学作品を通して、死の今日的な意味を探るホットな内容となっている。死を見つめることは「生」をより確かなものにするという著者の想いが込められた六二編のエッセイを収める。
目次
死のありか
「自然」の注解
現代の孤独
センチメンタル
愛のデーモン
生命の質
七色の光のクラゲ
河童の川流れ
音楽の発見
無私〔ほか〕
著者等紹介
芹沢俊介[セリザワシュンスケ]
1942年東京に生まれる。上智大学経済学部を卒業。評論家。子どもや家族、性・死・暴力、社会的事件を独自の視点で論じつづける
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
rasty
0
現代の論客“芹沢俊介”さんの本です。終末期ケア、看取り等、答えを探し続けていかなければならない課題に向かっていく時には、自らの経験値を上げていくほかにはありません。しかし、それでも迷うときには“哲学”です。はっきりいって、読みにくい・わかりにくい文章もありますが、ヒントになる琴線に触れるそんなエピソードを探して迷宮を彷徨うにはもってこいの本だと思います。“イノセンス”や“母性”への言及もあり、吉本隆明、三好春樹、キューブラロスまでも引用されています。まさに巨匠、芹沢先生です。2012/10/05