内容説明
1970年、私は二十歳だった。高校を卒業し、町の役場で働いていた。職場の人はいい人ばかり。月賦で靴や洋服が買えることも覚えた。地元、岩国は基地の町。アメリカ兵が大勢いる。ベトナム戦争から帰還した者、あす、戦場に行くという者、みんな同じ年ごろだ。―私は、こんなに穏やかで、退屈で、いいんだろうか。ある日、出会ったフィリパ・ピアス『トムは真夜中の庭で』。胸が熱くなってくる。こんなことは今までなかった。母を置いて家を出よう。京都に住んでみよう。今日と違う、何かが始まる―児童文学者が書き下ろす青春グラフティ。
目次
ガイジンがいっぱいいる町
ビートルズはうるさいだけだ、とみんな言う
痴漢に襲われる
先生のあだ名はダーリン
夜の駅で
「太宰を読むヤツは嫌い」
眠りたくなくなる薬
町役場で働く
アポロ11号を宿直室で見る
牧師は駄菓子屋さん〔ほか〕
著者等紹介
岩瀬成子[イワセジョウコ]
児童文学作家。1950年、山口県に生まれる。岩国商業高校卒業。作家・今江祥智に師事し、児童文学を学ぶ。1978年、『朝はだんだん見えてくる』(理論社)でデビュー。同作品で日本児童文学者協会新人賞を受賞する。『「うそじゃないよ」と谷川くんはいった』(PHP研究所)で、92年に小学館文学賞、産経児童出版文化賞を受賞
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